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【検証】野菜出汁を一番美味しく作るには?

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今日のテーマは、野菜出汁です。

昆布やかつお節だけじゃなく、野菜だって立派に出汁素材!基本の野菜出汁はタマネギと人参とセロリで作りまーす。

煮出した野菜出汁はそのまま塩こしょうしても美味しいですし、肉や魚、貝、キノコ、乳製品など自由にアドオンしていってもまたそれぞれ美味しいスープが出来上がります。そういった意味では、西洋系のスープの一番ベースになる出汁かもしれませんね。セロリを省けば、和食にも大活躍します。

 

さて、そんな基本の野菜出汁ですが、どうやって煮出すのが一番美味しさが出るのだろうというのを検証してみました。

まず材料です。割合は

●セロリ1本

●人参1本

●たまねぎ1個

に水を700cc用意しました。

まずは野菜をひたすら刻みます。

それらを

今回は、煮出すにあたり下記の4パターンを行なうことにして、具材を正確に4等分に。

●水からそのまま煮出す

●冷凍させてから煮出す

●大さじ1のオリーブオイルでグリルしてから煮出す

●蒸してから煮出す

 

 

そして、下記条件でまったく同じように煮出しました。

1.水の状態から材料を入れて火にかける

2.沸騰したら弱火で20分

3.火を止めて20分さます

4.5分強火で再度煮出す

 

1.そのまま煮出す

2.グリルして煮出す

3.蒸してから煮出す

4.冷凍してから煮出す

です。

 

はあ。疲れた。

そして完成です!

ご覧の通りです。左から、そのまま、焼く、蒸す、冷凍です。

これらを冷まして、同じ温度になったところで試飲して官能チェックです。

 

1.そのまま

オーソドックスな野菜出汁の美味しさで優しい味わいの安定感がありました。これはこれでとても美味しいです。

2.焼く

色味が明らかに他と違います。グリルした野菜の香ばしさが加わり、オリーブオイルも相まって、とても濃く深い味わいです。これだけでスープとしての完成度が高い気がします。ただ、野菜出汁ならではの優しさは減ったかもしれません。ちょっと強いので、朝食というよりはディナー向きかも。

3.蒸す

野菜のえぐみや雑味が取れたスッキリとした味わい。蒸すことでそういったものが落ちたのかもしれません。しかしながら、甘さは一番少なく感じました。スープとしてはちょっと物足りない。しかし、野菜自体の歯ごたえは蒸したものが一番柔らかく、具として食べるならこれがベストな状態でした。

4.冷凍

一番甘みが出ていて、一番美味しく感じました。具としての食感は、一度凍らせた感は否めないですが、スープとしては本当に秀逸。砂糖が入っているじゃないかと思うくらい、ものすごく甘いです。香りも良いですし、何杯でも飲めてしまいそう。

 

 

ということで、

一度冷凍したものが一番甘くて美味しい!

という結果になりました。

 

いやー、正直、試す前までは、そんなに味変わらないんじゃないのー?と思っていたりもしました。しかし、やってみると歴然の差がありました。楽しかったです。

焼いたり蒸したり冷凍したり、という一手間ですが、どれもいかに細胞膜を壊して旨味を出やすくするかということかと思います。当初はなんとなく焼いたり蒸したりしたのが美味しいのかなと予想していましたが、意外にも、冷凍したものが一番甘くなりました。

確かに、実は、貝の出汁をとるときも、一度冷凍させると旨味が増します。冷凍させるってのはなかなか、良いんですね。

しかも、冷凍なら日持ちしますから、休みの日にたくさん刻んで小分けにし、ストックしておけば、いつでも思い立った日に美味しい出汁が取れるということ。手間も少なく、旨味もバッチリ。働く忙しいママさんにもおすすめかもしれません。

 

では。改めて煮出し方をいいます。

●沸騰したら弱火で20分

●火を止めて20分放置

●5分強火

以上です。

あとはここに、お好みの具材を入れて、塩こしょうだけでも充分です。他の料理しながら、放置プレイでOKです。多少煮過ぎても、煮足りなくても、まあまあ大丈夫。もちろんこの45分間も時間がないというときは、スープそのものを冷凍してストックしておくという手もありますよ。

 

忙しい日は、顆粒のコンソメの日だってあるかもしれません。毎日こんなことするの大変です。でも、時にはそういったものを使わずに自然の素材を使って、ほっこりデトックスも良いですよ。下準備さえしておけば、そこまで大変じゃないですから。

これからの寒い季節。美味しい優しいスープをご家庭でもぜひいかがですか?

 

 

-だしについて

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  1. […] 中にあった旨味成分が外に出やすくなるということはほぼ間違いなく、以前野菜出汁を様々な方法で抽出したときも一度凍らせると美味しいというのも実証していますので、いずれにして […]

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