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だしを濾す方法は何が良いか。

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だしこしの際に使う布はどんなものがいいのかというお話。3話目。実は以前はキッチンペーパーやさらし布などをいろいろと比べて検証していましたが、あれから月日は流れ、私もますます磨きがかかり、情報をアップデートする日がやってきてしまいました。

もうかつての私は忘れてください。わたしは昨日の自分ではありません。あしからず。

えー、なにを言っているの?という方は、こちらの記事をまず読んでいただければと思うのですが、当時の結論としては「さらし布が良い!」ということに帰着していました。

しかしながら、その後プロの料理人さんのお話を聞いたり、より堀り堀りしていくと、どうやらさらし布よりもっとずっとすごい奴がいるということがわかりました。世界はまだまだ広かった。。。そして、知ったつもりで偉そうにしていた自分が恥ずかしく。人生は勉強。男は人情、女は愛情。ということなわけで・・・。(中略)

 

ネル地というプロの領域の布を知る

ネル地というのをみなさん聞いたことがあるだろうか。そう、あれです。コーヒーで「ネルドリップ」と言われるやつです。「ネル」がどういう意味だかよくわからないが、とにかくあのちょっと分厚い布。毛羽立っていてなんかさわるとあったかいような、秋冬によさそうな触り心地が気持ちいい。

そんなネル地、実は料理人のプロたちは、我々トーシロー(素人)と圧倒的な差をつけるために人知れず黙って使っていたということが判明。うーん、そんなん知らんかった。教えてよ、水臭いな。悔しいじゃないか。このこのー。

そんで、そもそもネル地とは・・・

フランネル(flannel)はネルとも呼ばれ、片面だけ毛羽立ちされた丈夫な綿の織物である。

へえ。フランネルを略してネルっていうわけね。なるほど。毛羽立っているのに「寝る」とは如何なものかと思っていたら、舶来の言葉だったのね。もう日本人って長い単語を略すの好きだよね。。でも後ろの方を採用するってのはちょっと珍しケースかな。

まあ、フラ地って略すよりネル地っていうほうがしっくりくるかもね。

とまあそんなふうにいつものごとく脱線していくわけですが、、

話を戻すと、このネル地ってやつは、要するにキメが細かくてより綺麗に濾せるということらしいのです。それはやってみないといかんです。はい

 

ますは下記2つの写真をみていただきたい。

 上がさらし布、下がネル地の表裏である。

まあなんちゅうか、一目瞭然でさらし布のほうが下の天板が透けていますね。うん。つまりまあ目が荒いというわけです。(水捌けがよいとも言えますが)

対するネル地のほうといえば、かなり分厚い。生地業界のラスボス感が漂う間違いのない強さを感じます。

次にスリスリと手触りを感じてみると、、、なんだか昔ジーンズメイトでこういう感じの質感のダサいシャツを買って着ていたような気がするなあ。。。という苦い思い出がチラホラ。なんだっけこれ。。あ!!!そういえばネルシャツって言っていたやん!!そーかー、そうだよねー。ネル!!うん、そうか意外と身近にいたやつだったことが判明。 

と、ひとしきり自問自答を終えて、実際の出汁取りに移ります。

出汁を濾すとどう違うのか

では、実際に出汁を同じ条件で濾して比べてみたらどうなるのか。プロの領域とやらをとくと感じようではないか。

いつものごとく、始めます。かつお節を鍋に投入!いざ!

まずは、長年の相棒、さらし布。

うむうむ。これこれ。私の好きな水捌けとこし加減。安定の出汁こしの風景。いいよ、いいよ。ハニー。やっぱり君が一番だよ。うん。

こした出汁はこんな感じ。美しく輝くお出汁。うむり。

 

で、なんだっけ?ネル野郎?ジーンズメイト出身のダサいネルシャツ君だっけ?

仕方ないなあ、試してあげますよ。

ざるにかけると、なんだか分厚い。。。うーん、なんかミイラっぽい威圧感があるよねえ。(写真は90cm角のネル地を使用)

そして、濾します。

ざざー。

ん????

あれ・・・?

両者を比べます。

この透け感の違い、写真で伝わるだろうか。

右がさらし布。左がネル地。

肉眼で見ると明らかに違う。。ネルの方がより透明度が高く澄んでいて淀みがありません

まじか。。すごいやん。

明らかに美しい。。。

しかも、分厚いくせに、水捌けも全然悪くないし。これはやばい。。。すごいのに出会ってしまった。。。ていうかなんで料理人さんはこういう良いのを教えてくれないのだ。だめだよこっそりこういう良いの使って自分だけいい思いしているのは。

 

とまあ、つい2分前まで、さらし布命だった男が、こうも簡単に鞍替え希望になるとは。。。しかし、味はどうなんだ味は!そこが問題じゃ。

さっそく味比べ。(右に見切れているのコップは無視してね)

左が我らがさらし布。右が新しいネル地ハニー。(もうハニーって言ってる)

では、いただきます。

ゴクリ。

  

  

お。おおおおお。おおおお。

  

こ。これは。。。

  

ネルちゃんの方が、すごく洗練された味になっている。。ソフィスティケーティッドなあれです。雑味がなくてスッキリしていながらも、うま味も香りも口の中に広がる上品さ。例えるならば、それはまるでそれは絹のような滑らかさ。(綿だけど)

対するかつての恋人、さらし布子といえば、例えるならば、地方出身の東京の大学にいく前の高校時代の女の子とでも言うべきだろうか。良くも悪くも擦れていない純朴さと素直さがあるけれど、口の中に残るわずかなモッサリ感がどことなくやぼったい印象を雰囲気を醸し出す。いや、別にこれはこれで嫌いじゃないんだけど、、、なんというか、庶民的というか。コクはあるんだけどね。

どちらが良し悪しとは言えないところもあるけれど、このネル地を知ってしまうと。。。うーむ。

 

ネル推しになるのはいいのだが、一つ問題が。

アイドル好きの人が推しを変えるのを「推し変」というらしいのだが、私がいまここにさらし推しからネル推しに推し変するにあたり、一つ大きな壁が立ちはだかってしまった。

それは、家庭で使えるほどよいサイズの布が売っていない。。。

実はこのネル地、さきほどの写真でも90cm角と書いてあるが、プロが使う素材ということで、家庭で使うにはやたらと大きい。。。

さすがにこんな大きいの使いづらいっすよ。

もっと家庭用のサイズってないっすか。。。

と、しばしネットサーフィン。

カチカチカチ・・・

カチカチ・・・

カチ・・

「ないやん。。」

そう、料理用に衛生的なネルの生地で家庭で1〜2リットル取るときに使いやすいサイズの生地が無い。。。。。

ふう。そりゃあ、ネル地がだしこしにいいよって世間に情報が出回らないわけですよ。奥さん。

こうなったら、もうあれですよ、あれ。

 

私が商品を作るしかないっす!

 

なんとオリジナル商品が出来てしまう

ということで、世の中に無いのなら、作るしか無いわけで、もう自分が動くしかないということで、新潟県燕市で食品用の生地を専門に製造している老舗メーカー吉田織物さんに直電。「あのー、通りすがりの出汁野郎ですが、ネル地の45cm角をつくってちょ。」「あいよ」

と、意外とあっさりOK。使いやすい45cm角のネル地のこし布を作ってもらうことに成功。お見積もりも、90cmの布を買うよりはるかに安く販売出来そう。これならいける。というか、自分が欲しい。。

いかがですか、みなさん。

これ、いいでしょ?

 

いろいろ試してみて行き着いた先は、新しい商品開発になってしまったというオチ。でも、これは冗談抜きで、本当にオススメ!

ぜひこちらより詳細をご覧のうえ、ご購入くださいネ!

(小ロットで作りましたので、数に限りがあります。)

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