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UMAMI 作り手物語 だしについて

【だしとりレポート】サメ節 1

投稿日:

以前作り手物語で取材させていただいた田向商店のサメ節。

実際にだしをとって、どんな味わいなのかをレポートします。

さあ、未知の節、サメ節のお味はいかがだったでしょうか

 

だしを引く

今回は、嬉しいことに節のまま一本丸々いただいてしまいました。ずっしりと重たく、燻した香りがとても強く香ってきます。表面はサメの筋肉質が樹木の年輪のように刻まれています。

すこし曲がっているのは、おそらく乾燥の際に収縮率が違うのでしょう。左手前の曲がっているところが血合いだそうです。

鰹節削り器で、別の魚を削ったの初めてです。

水分量が多少多いのか、結構しっとりとしていて、削りやすかったです。

一切れ食べてみました。

おお、これは生ハムのような感じ。美味しい。このままサラダに振りかけてもいけそうな気がしました。しかし、鰹節とは全然違う食べ物。なんだかとっても不思議な食べ物。味わい。心配していたアンモニア臭さは特に感じません。燻が良い感じ。

削った節は芯まで延々とどこまでも黒っぽい。もともとこういう魚質なのか、燻製がかなり芯まで入っていっているのかはわかりませんが、なかなか荒々しい力強さを感じます。

水1リットルに20グラムほど削り節を準備しました。

サメ節の出し方が他の節と違うのは、10分ほどコトコト弱火で煮出した後、だし素材を漉さずにそのまま一晩つけておくこと。他の魚のように臭みやえぐみが出ることなく、旨味が後から後から出続けるんだそう。先に一晩水につけてから10分煮出すのでも良いそうです。

ということで、氷水に浸して、冷却してそのまま数時間放置しました。

サメ節は脂分が多いとのことでしたが、濁りもなく透き通った黄金色。

我慢できずに一口すすってみました。

「え????」

「え!?」

「・・・・。」

「おっわあわあああああああ。」

時間差ですごいのが来ました! 以前田向さんにお話を聞いたときに「ドワーーーで、ズワズワズワズワ」とおっしゃっていた意味がようやくわかりました。

なんといえばいいのでしょう。いわゆる鰹出汁をすすったときの、口の中で感じる「うま味」はほぼ無いんです。え??って肩透かしを食らったように思っている間に後から「うま味」ともちょっと違うようななんともいえない口に残るような不思議な感覚が時間差でやってきます。これがおそらくアンセリンによるアミノ酸の効果なのでしょう。イノシン酸のうま味は感じないのに、なんとも表現しにくい不思議な感覚が襲ってきます。

めちゃめちゃ新しい味覚体験。なんじゃこりゃー。

そして、田向さんから「醤油と酒で味付けした出汁を飲んでください」と何度も言われていましたので、言われた通りに味付けしました。

一煮立ちさせて、アルコールを飛ばして一口。

うおおおおおおおおおおおおー。うめーーー。

これはすごい。

口に入れた瞬間に、醤油のうま味がガツンと押し寄せて、その後に入れ替わるようにサメ節のうま味がどわーーーって広がり、いつまでも口の中に何かが残っているような感じがします。醤油と酒が入るだけで全然別物に変わりました。面白い〜〜。カツオと昆布の合わせ出汁でも似たようなことは起こりますが、それを何倍も超えたうま味体験を味わえました。これは塩では味わえない体験だ。醤油とか酒とか出汁とか、それぞれの素材がそれぞれに独立して感じられて、それでいてちゃんとまとまりもある。いけないクスリでもやっちゃったんじゃないかと思うくらいにそれぞれの味わいが際立って感じられました。

 

豚肉と野菜の煮込みを作る

田向さんにオススメのレシピを聞いたところ、「蕎麦でもラーメンでも野菜の煮込みでもなんでも良いです」とざっくりと教わりましたので、野菜の煮込みを作ってみました。豚肉が合うとのことで、お肉も用意。味付けは醤油とお酒だけです。

サメ節出汁に根菜類を入れて煮込み、

お肉も加えて

葉ものやキノコ類を加えて煮込んだら

酒と醤油を1:1の割合で、目分量でドボドボドボと入れて、味を見ながら程よいところになったら完成。なんだか男の料理って感じでちょっとワイルドです。

盛り付けました。

うん。良い香り。

食べてみましょう。いただきます。

 

ハフハフ。モグモグ。。。。

 

 

・・・・。

 

うおおおおおおおおおおおお。キターーーーーーー。

なんだか、今回レポートは雄叫び多め。

なんでしょう、このえも言われぬ満足感は。こってりしているわけでもないのに、なんだかうま味の強いラーメンを食べているような。燻製の香りもとても強く。荒々しい美味しさが口いっぱいに広がります。なんといいますが、肉体労働の後に、これを食べたら、すごく満たされそうな気がします。うん。これはすごいかもしれない。

家族にはサメ節であることは伏せて食べてもらったのですが「ああ、美味しいねー。なにこれー。」と言ってパクパク食べていました。よっしゃ。

しかし、あまりに力強すぎたのか、途中で満足してしまったようで、いい意味で残されてしまいました。なるほど、そういうこともあるのか。

決して立ち上がりのパンチが強いわけではないのに、後から後から口の中に残っていくうま味的な新感覚。満足度が半端ない。田向さんが「食ったーって感じがします。」とおっしゃっていた言葉が思い出されました。うん、食った食った。少量でも満足できるということはダイエットにも良いのかもしれない。

そんなことを感じたサメ節なのでありました。これはぜひみなさんにも一度体験いただきたいなあと思った次第です。

なお、次回は鰹節や煮干しとブレンドした粉削りに商品サンプルもいただきましたので、こちらで料理にしてみようと思います。楽しみはまだまだ続くのです。ニヒヒヒ。

 

 つづく。

-UMAMI, 作り手物語, だしについて

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