今日は昆布のお話。
筆者は、いまでこそ昆布は大大大好きですが、
出汁を自分で取るようになる前までは、実は、昆布を食べるのは嫌いでした。
なんというか、磯臭い匂いと独特の口当たりが如何とも受付け難く、オエっとなりました。
ですから、おせちの昆布巻きなんて拷問のようでしたし、おでんの結び昆布は罰ゲーム級に食べたくないものでした。
しかし、出汁を通して、昆布の奥深さと懐の広さを知れば知るほど、
昆布が好きになっていき、今では、出汁だけでなく、食べる食材としても食卓に欠かすことが出来ないものとなりました。
動物園でいうところの、象さんのような存在かもしれません。
もう、あなた無しには、居られない。
そんな経緯の私だからこそ、昆布があまり好きではない人に向けて、昆布の美味しさに気づいてもらいたいのです。
嫌いだった過去があるだけに、どこがイヤなポイントかというのもすごく分かるので、いかにあの部分を消して美味しい体験にできるのか、
それが、命題だと思っています。
ということで、1回目の記事は、食べる昆布としての代表格「昆布巻き」を、なんとか昆布の嫌な部分を感じないようにアレンジして、美味しくできないかというチャレンジです。
今回は、「長昆布」を入手しました。
(お正月のお節作りの余りですが)
この昆布、旨味成分は少ないので、出汁目的としてはほぼ使えないのですが、早く煮えて歯ごたえも柔らかいので、食べる目的ならばとて素晴らしい一品です。
昆布巻きや、結び昆布など、私が嫌いだった昆布に使われている昆布まさにそのものです。
同時に、フジッコの佃煮や居酒屋で出てくる塩昆布、駄菓子の酢昆布など、比較的美味しいと感じる昆布もこの昆布が原料であることが多いです。
つまり、調理の仕方によっては、まだまだ万人に向けて美味しくできる可能性があるのではないかと思っているのです。
では、始めましょう。
この昆布の秀逸なところは、水につけるとすぐに柔らかくなってくれることです。
出汁用の真昆布や利尻昆布だったら、写真のような状態になるのには、最低でも30分以上かかります。しかし、この昆布は2〜3分で柔らかく戻ってくれます。
ちなみにこの昆布を漬けた水には旨味生分はほとんどありませんので水は捨てました。
(今回は昆布嫌い撲滅計画なので、昆布らしい匂いを極力減らします)
戻して大きくなった昆布を正方形くらいに切りわけます。
水と酒と味醂で20分ほど炊きました。
最後に濃口醤油を加えて、佃煮風に。
そして、煮えて柔らかくなった昆布にスライスチーズをのせます。
昆布とチーズを交互に重ねてミルフィーユ状にしていきます。
そうして出来上がりましたのが、こちら、「チーズin昆布」です♪
暖かいうちは切り分けづらいので、冷凍庫に入れて半冷凍状態にしましてから適度な大きさにカットすると良いでしょう。
一口大にカットされた「チーズin昆布」。
前菜の一品として、見た目も、味わいも、かなり垢抜けた美味しさに出来上がりました!
食べてみますと、
チーズが挟まっているだけに、コクと旨味が相まって、日本酒はもちろん、ワインにもマリアージュしそうな美味しさです。
5年前の自分が食べたら、衝撃を受けていたに違いない。
たぶん、日本人の7割くらいの人は美味しいと言ってくれるような気がします。
しかし、昆布がすごくキライな人には、まだまだ昆布特有の香りが残っているのも事実でした。
このあたりの風味をいかにライトにしていけるか、
そこに、改良の余地があるように感じました。
しかし、いずれにしても、甘ったるくて垢抜けないイメージの「昆布巻き」を、かなりブラッシュアップできたような気がしました!
この調子で、さらに研究を重ねていけば、きっと98%の人が美味しいと感じてくれる昆布料理を作れるのではないかと思います。
まだまだ色々アイデアはあるので、今後記事化していければと思っています。
つづく