未だ見ぬ素材との出会いを求めて
日本全国津々浦々。狭い日本そんなに急いでどこへ行く。とはいえ、我が国は南北に大変長く、様々な地形があるため、気候風土は全然異なり、実に多様な食材と食文化が溢れているのは周知のこと。それはだし素材一つとっても言えることなんです。まだまだ知らないだし素材が日本には溢れています。そんなまだ見ぬ出汁に出会いたい!あー、これも良い!あれも好き!というようなことを日々やっていますと、知らず知らずと情報も集まってくるものです。また、「こんなんあるけど、使ってみる?」と声かけてくださる方もいらっしゃいます。はい、とてもありがたいことです。
ということで、今回はエソの煮干しをサンプルで頂いてしまいました。
なんと奈良県の鰹節屋さん「奈良鰹」さんからサンプルでいただきました。これは嬉しい!どれどれさっそく試してみましょう。
エソと言いますと、あまり聞き慣れない魚かもしれませんが、釣り人の間では外道と呼ばれ、ちょっと迷惑がられています。それは、顔つきはおっかないし、骨は多くて硬いから調理しづらいし、というので嫌われているようです。しかし、実はさつま揚げなどの高級な練り物に入っているすり身でして美味しい貴重な魚なんです。エソという名前は聞いたことがなかったとしても、きっとみなさんも練り物を通して食べているはず。見た目はおっかないし、不器用で嫌われ者だけど、付き合うと実は良い奴。そんなエソにちょっと魅力を感じ始めました。
このエソ。あまり煮干しとして全国に出回るものではないようで、正直初めて見ましたが、遠目にはカタクチイワシの煮干しのようです。しかし、よく見ると顔つきが恐ろしいのが小さいながらも見受けられます。口が裂けるように大きくひらいて歯がギザギザ。かなり獰猛な印象がします。何匹かは小さい魚を口に加えたまま煮干しになっていました。その口の裂け具合の怖いこと怖いこと。
しかし味が良いということですので、ラーメン屋さんなど食のプロの世界では流通しているようです。
すり身にできないくらいのこれくらいの大きさの魚っていうのは、捨てるのはもったいないし忍びない。ならば煮干しにしようぜ!というのがなかなか好感触ですよね。
試しに1匹、ハラワタの様子を見るために裂いてみますと、魚の大きさの割りに内臓部分が少ないです。ちょっと写真ではわかりづらいのですがイワシに比べると明らかに少ない。これはつまり、苦味が少ない出汁になる予感。
お鍋に水を張り、エソを一掴み、30分ほど浸した後に、ゆっくり弱火で火入れしていきました。
良い感じに出汁がでている様子。
そんなに粉も落ちていないようなので、さらしも使わずにザルで濾します。
出汁とれました。
なかなか良い香り。まあ、いわゆる煮干しの香りではあるのですが、どことなく上品さが漂います。
どれどれ一口。
ズズッズー。
お!
お!
お!
ええやん!
これ、おいしいーかも。
あのですね、甘味とうま味が強くて、ちょっとコックリしているようなまろやかさが優しく口を包み込むんです。そして、なんでしょう、大変不思議なのですが、永谷園のお茶漬けの素に入っているちっちゃい煎餅の香りがするような気がするのです。この独特の香ばしさ。でも、悪くない。
さーて。これはどんな料理に合うのかなあ〜。。
永谷園のお茶漬けかぁ。お茶漬けねえ。。。
えい!
もう、お茶漬けにしちゃいましたよ。だし茶漬け。これが不味いわけがない。
いただきまーす♪
ズズズズー。 はふはふ。 ぷはぁ。
ああ、幸せ。
「こ、これは、もはや永谷園を超えたスーパーミラクル永谷園やあ」(永谷園の域は出ないんかい)
と、冗談はさておき、だし茶漬けといえば、鰹が香るのが当たり前と思ってましたが、煮干し出汁もアリですねえ〜〜。本日の発見。
そして、出汁ガラなんですが、火入れした後ですと、結構簡単に骨と身がほぐれやすくなっていまして、綺麗に身だけにできました。そして、この身が絶妙に美味しい!さすが、すり身にされる魚だけあって、淡白なくせにうま味がちゃんと残っていて、フワフワの食感がとっても美味しい!
これね、次回機会があったらレシピ記事書こうと思いますが、アボカドと三つ葉を合わせたかき揚げにしてみたんです。そしたらね、もう誰かに抱きつきたいくらい美味しかったです。すごく良い仕事してくれます。ジャイアン、やるじゃないか。見直したよ。
いやーエソ煮干し。素晴らしい。
これ、もっと世の中に出回らないかなあ。
(ちなみに、これを読んで、買ってみたいと思ったとしても、奈良鰹さんの方で恒久的に取り扱っている商品ではないので、一般では手に入らないみたいです。ごめんなさい。)
どこかで出会ったら、是非!
なお、奈良鰹さんのHPないので、どなたかが行ったブログを発見したのでそれを貼っておきます。お近くの方はぜひ。
ちなみに、えそは魚醤にもなってます。これは私の私物。職人醤油で買えます。
いろいろひろがるエソの世界。
また一つ引き出しが増えました。
[…] 先日、サンプルでいただいたエソの煮干し。一般によく見かける、カタクチイワシの煮干しに比べて臭みが少なく、上品で甘味を感じるとても美味しいお出汁でした。エソ自体は高級な […]