人参や大根の皮ってありますよね。あれ栄養価は高いというのはわかるのですが、きんぴらにして食べるとかそういうのも、なんとなく貧乏臭い感じもしますし、毎日きんぴらばかり食べるのも飽きてしまいます。かといって捨てるのも、何だか勿体無い。どうしたものかなと思っていました。そんな中、ふと、干してみれば良いのではないか、出汁をとってみれば良いのではないかと思いました。
クズ野菜は、冷凍しておいて野菜出汁として煮出すと美味しくなる、というのは知っているのですが、乾燥させるというのも良いのではないかと思い早速トライ。
こういうやつに皮をむいた人参と大根の皮を入れて洗濯物の隣で干しておきました。
皮むきした皮なので、そこそこ薄いので乾燥も順調に進み、だいたい3日くらいでカピカピに乾燥しました。
これはいわゆる一つの、切り干し大根のようですね。
早速水で戻してみましょう。
1時間ほど漬け込んでおきますと、元のカサに戻った感じです。
この乾燥させた後に水でまた戻すという行為、なんでそうすることで旨味が増すのか最近までわからなかったのですが、要は乾燥する過程で細胞膜が壊れて、それを水に戻すことで壊れた細胞膜から旨味が出てくるということのようです。だから、ただ生野菜を煮出すよりも乾物の方が旨味が多くなるということなのです。(細胞膜を壊すという意味では冷凍させるというのも同じです。冷凍させてから出汁を取ると旨味が強くなります。)
鍋に移してみますと、すでに琥珀色の出汁が出ているようです。
ここから火を入れていきます。
コトコト弱火で、15分
ザルで濾します
見事なアンバーな出汁が取れました。
スプーン一口、味見しましょう。
おおお、これは。
これは、切り干し大根の戻し汁に深みを増した感じです。昆布や鰹のような分かりやすい旨味ではありませんが、精進出汁と同じ系列の滋味深い味わいです。
冷凍クズ野菜を煮出した味わいともまったく違います。乾燥したならではの独特の乾燥臭が付いています。これは確実に煮物にベストマッチな予感。
せっかくなので、昆布も一切使わず、醤油とみりんだけで煮物を作ってみました。
大根と人参は下茹でして、さつま揚げと厚揚げと椎茸を入れてコトコトコトコト。
(まあ、さすがに野菜だけだとコクが足りないと思ったので、さつま揚げや厚揚げが入ったのはご愛嬌ということで。。出家するくらいな心境になったら、そこからも脱却できるかもしれません。)
調味料はみりんだけで落としぶたをしてしばらく煮込んで、野菜に火が通ったら、醤油を加えて軽くなじませます。具材は取り出し、煮汁だけでしばらく火を入れて煮詰めて汁を凝縮します。煮汁が半分くらいになったら、野菜を戻して再度しばらく煮たら、火を止めて常温になるまで放置。冷める段階で野菜に旨味と塩気が浸透していきます。
ということで、完成!
自家製「乾燥クズ野菜出汁の煮物」です!
ああああ、滋味深い。
昆布さえいらないこの優しさ。それでいて、まったく物足りなさを感じさせない煮物としてのコクの深さと完成度。皮で出汁をとって具を煮込む野菜を丸ごと全部いただくという感じがなんだかとってもいい感じです。
乾物は買ってくるものという固定観念がありましたが、素人でも乾物は結構できちゃうものなのかもしれません。干し網があれば簡単に美味しい出汁が取れるのですから、これはいいかもしれません。しかも、特別な手間はいりません。今まで捨てていた部分をほし網に放り込んで放置しておくだけなんですから。なんだか、いろいろなものを干すことに目覚めてしまいそうです。
冷凍クズ野菜の出汁はスープ向き、乾燥クズ野菜の出汁は煮物向きな気がしました。
用途に応じて使い分けられると思いました。これはいいかも。
皆さんも、自家製クズ野菜出汁、いかがですか?