12月になりました。
師走の忙しさで、私ものんきにブログをアップしている場合ではないのですが、ちょっとだけ現実逃避。
大晦日に食べるお蕎麦に向けて、いまから仕込みをはじめます。
うちでは、毎年大晦日にはおうちでお酒をのみながら紅白歌合戦をみて、お正月の料理の準備をしつつ、ちょっと贅沢な食材をつかっておつまみを食べ、最後の〆にざるそばをすすります。一年の最後の食事のお蕎麦、こだわりたくなります。この時期、スーパーやお蕎麦屋さんの店先では家で作るようのお蕎麦がたくさん売られますが、蕎麦そのものが良いのには越したことはありませんが、意外とそばつゆのクオリティーには気が向いていない人も多いのではないでしょうか?そばつゆが美味しいと、そばももっともっと美味しくなりますよ。ぜひ自宅でそばつゆ作り、おすすめします。
今年は、だしソムリエのイベントのかつお節問屋のマルサヤさんでそばつゆ講座を受けたこともあり、さらに本格的に仕込んでいきたいと思います。
そばつゆは、かえしと出汁
さて、そばつゆ、なんぞや。どうやって作るのか。意外と知らないですよね。普通は桃屋のつゆの素かなにか買っておしまいだったりしますからね。
簡単に言うと、そばつゆはかえしを出汁で割ったものになります。
かえしとは、醤油と味醂と砂糖をあわせた調味液のことです。
ざるそばなどつけて食べる濃いつゆ(辛汁)はかえし1に出汁3くらい。かけそばなど暖かいつゆ(甘汁)はかえし1に出汁5〜8くらいです。
出汁は、辛汁のほうが、出汁をよりつよく効かせたもので、甘汁は、あっさりした出汁を使います。水に対して使う削り節の分量が違います。(これはまた追々別の記事にします)
まずは「かえし」を仕込むところからそばつゆ作りが始まります。
この「かえし」は、醤油とみりんと砂糖それぞれの比率だったり、どこの醤油や味醂をつかうかだったり、火入れをしたりしなかったりといったところで蕎麦屋さんごとにそれぞれお秘伝の配合がありますので、聞いても教えてくれません。この「かえし」は、寝かせておくことで、醤油の角が取れて、よりマイルドでまろやかな味わいになっていくのです。お店は継ぎ足し継ぎ足ししてかえしを大事に壷に入れて保存しています。基本的に腐ることはないので、何十年だって持ちます。なので、大晦日に向けて、いまから「かえし」を仕込むというのは、全然早くはないのです。
我が家では冷蔵庫に「かえし」を常に継ぎ足しながら寝かせていますが、今回は、とても良い味醂と砂糖が手に入ったので、普段使いのかえしとは別に作ってみようということでちょうどいい機会なので、記事にすることにしました。
かえしの基本比率は、一斗一升一貫目
まずはかえしの比率です。
一番簡単に覚えられるのが「一斗一升一貫目(いっと、いっしょう、いっかんめ)」。
これは、
●お醤油:一斗缶(18リットル)
●みりん:一升瓶(1.8リットル)
●お砂糖:一貫目(3.75kg)
ということです。昔の単位なので分りづらいですが、きっと蕎麦屋さんが仕込むときに、細かく測ったりしないで
それぞれの1単位をどばーって混ぜれば完成という、簡単にするためにここに当てはめたという事情もあるのかもしれません。
しかし、なかなか良く出来ている比率ではあって、適度な甘さがいろいろな料理にも使いやすい「かえし」になっていると思われます。
で、これを現代の家庭の作り方に当てはめると
●お醤油:1リットル
●みりん:100cc
●お砂糖:200グラム
という感じでしょうか。
みりんと砂糖の比率はお好みで変えても大丈夫だと思います。
味醂は煮切る、醤油は沸騰させない
では、実際にかえしを仕込みましょう
今回は、このようなラインナップです
●醤油:丸島醤油(小豆島)
●味醂:杉浦本みりん3年熟成(愛知県碧南市)
●砂糖:粗糖(喜界島)
醤油は通販で、みりんは現地で、砂糖は鎌倉のクレインポートさんで購入しました。
(もう作る前から美味しいに決まっているラインナップ。楽しみ楽しみ。)
まずはそれぞれの分量を用意します。今回は味醂の比率を高くしてみました。
まずは、みりんを鍋にいれ、火にかけてアルコールを飛ばします。
この作業、けっこうしっかりと火にかけてアルコールを飛ばす必要あります。
いままで、わーっと沸騰すれば大丈夫だとおもっていましたが、実は沸騰してしばらく経たないとアルコールは飛びきりません。2〜3分は沸騰させます。
鍋の上に顔をもってきて、湯気をかいでツンとくるアルコール臭がしなくなったらOKです。
(ちなみに、以前、大量の味醂を煮切っていたときに、換気扇を回さないでいたら、キッチンに揮発したアルコールが充満して、火災報知器がなってしまったことがありましたので、換気は必須です!)
みりんは一旦よけておいて、次は醤油を火にかけます。この火入れをしてかえしを作るのを「本かえし」と言い、火入れしないものを「生かえし」と言い、半分づつ混ぜるのを「半生かえし」といったりします。これはどういう方向につゆをもっていきたいかの作り手によってまちまちですが、われわれ素人は「本かえし」にしておけば間違いありません。
で、ポイントは沸騰一歩手前で終わらすこと。沸騰させると醤油の香りが悪くなってしまいます。
そこに、さきほどの煮切ったみりんと砂糖を加えて
よく混ぜます。ちゃんと混ぜないと、底に溶けきれない砂糖が固まったりしますのでよく混ぜます。
この入れる順序もたぶん人によってまちまちですが、火を止めてから混ぜ合わせていくと焦らずできるのでよいと思います。
本当は、1週間くらい蓋をしないで保存容器にいれて冷暗所に保管しておくとよいのですが、あいにく狭い我が家にはそんなスペースも余裕もないので、ジップロックに入れて、そのまま冷蔵庫に入れて熟成に入ることにします。
これでかえしの仕込みは終了です。
長々書きましたが、混ぜ合わせるだけのことなので超簡単です。で、これがそばつゆだけでなく、生姜焼きのタレだったり、煮物のタレだったり、何にでもつかえる万能調味料になりますし、まろやかで美味しいので作り置きしておくと非常に重宝します。
次回は出汁作り編です。
そばつゆは、出来立てよりも、出汁とかえしを合わせてから、さらに1週間ほど寝かせると、さらにマイルドになります。
大晦日に美味しいおそばを食べるためには、12/22〜24のクリスマス付近の週末に仕込むのが良いです。
なので次回はその時期にまたお伝えします。
さてと、お蕎麦は今年はどこから調達しようかな。。。
[…] ックしてあるものです。かえしの作り方は過去の記事をご覧ください。 […]