改めて、送水口とは
さて、3回目をむかえた、送水口に関して、
博物館で得た知識をもとに、改めてご紹介します。
そもそも、送水口とは、書いて字のごとく、水を送る口なので、ここに水を送るのです。
私はてっきり、消防車がここから水をもらうのだと勘違いしていました。。。
(消防車が水をもらうのは、採水口というのが別にあります。)
そして、なぜ水を送る必要があるのか、教えてくれました。
自分で図を作ってみたので、ご覧ください
建築が高層化すると、上記のように、はしご車でも水が届きません。
そこで・・・
ということなんです!!
なるほど、こうすれば消防士さんはホースだけもって、火元の階に行けば消火活動を行なえます。
これは、便利ですね。とっても納得。
ウィキペディアによると
外部からの消火活動が困難な、7階建て以上の建物、または5~6階建てでかつ延べ床面積が6,000m2以上の建物、もしくは面積1,000m2以上の地下街に設けられる。
ということでした。なるほど。
となると、7階建ての建築は、法律として送水口をつけなきゃいけないわけですから、その設備をつけてまであえて7階建てにするってのは、リッチなのかもしれません。そういえば7階建ての建物ってあんまり見ないような。。。(私がもしビルオーナーだったら、6階建てにするかいっそ10階立てくらいにしちゃうかもな〜)
そして、なぜ送水口が「2口」なのか館長さんに聞いたところ、、、
当時アメリカから輸入されたときから2口だったから!
もしそれが3口だったら、いまでも3口だったかもしれないよ!
それだけだよ!ガッハッハッハ。
ということでした。なーんだ。。。メリケンの習慣か。。
ただ、そもそもなんで「複数」口が必要なのかと、聞いたところ、
一緒にいらした本家送水口ファンの方から教えてもらいましたので、図解してみます。
ということなんです!超納得!
絶対2口必要ですね!火災という1分1秒を争う現場でロスは許されませんからね。
あとは、万が一、いたずらや目詰まりがあって片方に機能しないことがあっても
もう一口あれば水が送れるから、とか、そういった保険としての役割もあるそうです。
命と財産を守る大切な消火活動に抜かり無し!ということですね。
ちなみに、「採水口」は1口でよいとのことで、2口ありません。
1回目の記事でアップした下記写真は採水口だったようです。早合点していました。
採水口は建物地下にある水を貯めているプールに繋がっているそうで、消防車の水では足りない時は、そこから水を貰えるんだそうです。
ただし、何年も溜まっている水だから、すごいことになってるみたいで、そんなのぶちまけたら、臭くてたまんないから、めったなことでは採水口から水を貰うことはないみたいです。ここから水をもらうときは、もうよっぽどの時ですね。もしも火災現場に居合わせて、消防士さんが採水口から水をとっていたらよっぽどの時なので、火事場見物してインスタ映えとか言ってる場合じゃないので、すぐに避難しましょう。
あると安心だけど、使われないことを祈る設備ですね。
回すところが2つある理由
次に、送水口のキャップ部分には回すところが前後に2つあります。
これはなんででしょう。
まず「回すところ1」は見ての通り「蓋」です。ごみやいたずらから送水口を守るものです。
くるくる回すと簡単に外れます。
そして、「回すところ2」は、下記のように
送水口のほうをくるくるまわしてホースを固定します。
ホースのほうを回して固定すると、ホースがねじれちゃいますので、
なるほど、よく考えられています。
全ての造形には必ず意味と形があるのだなあ、、、(と無理矢理デザインの話に寄せてみる。)
ちなみに、1回目の記事に下記のような写真をのせましたが
これ、デザインはシンプルだけど、回す部分のひっかかりが無いのは大丈夫なのか聞いたところ、
なんと、東京以外の地域では、ホースをつなぐのはくるくる回すネジ式ではなく
カチっとはめるワンタッチ着脱式(町野式っていうんですかね?)だそうで、
東京だけがいつまでもクルクルネジ式を採用していてガラパゴス化していたんだそうです。
(業界のしがらみとか、政治とか癒着とかあるんでしょうか。。。あんまり聞かないことにしよう)
で、最近ようやく東京もワンタッチ着脱式にしよう、っていうことになって
新しく設置される送水口に関しては、このツルっとしたものになっているんだそうです。
いずれ世の中の送水口は全部このツルっとしたものになっていくのでしょうから
いま見ている形の送水口は徐々に無くなっていく運命なのですね。
ますます送水口博物館の存在意義が大事になって来そうです。(こんな価値のある活動に入場無料で大丈夫ですか?館長!)
ちなみに、「クルクル式」と「カチっと式」が混在する東京で、消防車は二種類のホースを用意しているのか聞いたところ、どちらでもいけるようにしたカートリッジがあるそうで、それを使えば大丈夫だそうです。ニッチな世界にはニッチなアイテムの需要と供給が存在するんですよね。(そんな隙間産業っていいなあ。海底火山の近くで硫化水素を食べて生きているニッチな生き物みたいで好きです)
さて、沢山書いたので、今回の記事はここでおしまいにします。
次回は、送水口の歴史に迫ろうと思います。
お楽しみに!
(下記写真は、私がジョギング中に出会った「猫と送水口」です、素敵でしょ♪
ちなみに、みなさんこのサイトはだしと発酵がメインですので。。。お忘れなく)
p.s.
全国の送水口ファンのみなさま。もし記事内容に間違いやご意見などありましたら、お気軽にメッセージください。