だしと発酵、暮らしとデザイン

丁寧で本物の日本の次世代の食生活を提案する、ライフスタイルWEBマガジン

だしについて

出汁を引こう! 〜精進だし〜

投稿日:

植物性の旨みをしみじみ味わう精進だし

2回目の出汁の引き方は、精進だしです。

(いきなりマニアックな路線にいきましてすみません。 )

精進だしとは、精進料理に使われるだしで、動物性の素材を使いません。つまり殺生をしないもので旨みを引き出すだしです。

最低一晩かかる出汁なので、ゆっくり時間のある日にどうぞ。

【用意するもの】

●水:1.5リットル(軟水が好ましいです)

●昆布:10〜15グラム

●干し椎茸:1〜2個

●乾燥大豆:20〜30グラム

●かんぴょう:5グラム

精進だしに関しては、素材の決まりや分量はあまりルールは聞いたことがなく、切り干し大根を使う方もいらっしゃいますし、豆はその時手に入る乾燥豆を使うという話も聞きます。分量もだいたいな感じが多い気がしますので、こちらはあくまで私流の精進だしのレシピですので悪しからず。

まずは、使う大豆の半分をフライパンで乾煎りします。

これをすることで、だしに香ばしさが加わります。

(ただし、全部の大豆を入るとちょっとエグくなってしまうので、半分です)

これくらいに皮がちょっと裂けてきたら完成です。

(これ、ちょっとつまんでも美味しいですよ)

すべての材料を水に浸します。

(かんぴょうは、ものによって漂白されているものがありますのでそういったものを使うときは塩水で揉んで、10分くらい水につけてからにしてください。でもなるべく無漂白を使いましょう。)

水に浸したら、半日〜1日漬けておきます。

椎茸の出汁がうまく出るように、できれば冷蔵庫に入れましょう。

大豆が元の形に戻っていればOKです。

さて、1日経ちました。

鍋に移して、ゆっくり火を入れていきます。(強火で一気にという方もいらっしゃいますが私は弱火で入れていきます。)

昆布は60度で引き出しても良いですが、植物性素材のハーモニーも楽しいので、あえて多少昆布の匂いが出ても良いと思いますので

私はこのまま一緒に加熱します。

90度を超えると、アクが立ってきますので、お玉ですくいましょう。

(でも、それほど雑味が立ちすぎるものでもないので、あまり取りすぎなくても大丈夫です)

けっして沸騰させないのがコツです。

沸騰手前でゆっくりと旨みを引き出します。

もともと一晩水に漬けているのである程度旨みは出ているので、90度くらいで5分も経てば充分でしょう。

ザルに引き上げます。

細かい素材は無いので、さらしやキッチンペーパーは無くて大丈夫です。

じんわり優しい精進だしが出来上がりました。

強い主張やパンチはありませんが、体にスーッと染み渡る淡い旨みが広がります。

極力塩や醤油も控えめにしてください。

野菜や豆腐などと相性が抜群です。

これでお粥を作れば、病中病後の回復食にもやさしい栄養が取れます。

お味噌汁を作れば、とにかく優しいお味噌汁になります。

菜食主義でなければ、鶏肉を使った料理にもマッチします。

ホッと癒されたい。日頃の暴飲暴食をリセットしたい。そんな日にオススメのお出汁です。

私の一品

根菜とがんもどきのじんわり煮

〜材料〜

●大根 (イチョウ切り) 1/4本

●人参 (小さめの乱切り)1本

●こんにゃく(短冊切り) 半丁

●しいたけ 3個

●里芋(小さめ乱切り) 3個

●がんもどき 6個

●精進だし 1リットル

●塩、薄口醤油(適量) 少しづつ加えながら味を見て、ちょっと塩気が物足りないくらいが丁度良いです

〜作り方〜

・里芋はあらかじめ蒸して7割程度火を入れておきます

・こんにゃくは熱湯にくぐらせてアクをとります

・がんもどきとこんにゃく以外の食材を鍋に入れて火を入れます。

・火が通ったところでこんにゃくを入れ、塩、醤油を入れ、味を整えます。

・がんもどきを入れて一煮立ちすれば完成です

・飾り付けに絹さやなど、青物があると器が映えます。(私は買い忘れましたが)

みりんや酒、砂糖は使いません。根菜から自然の甘みが充分出ますので。

塩と醤油の代わりに味噌を使っても美味しく出来上がります。

ごぼうを加えても美味しいですが、ごぼうの主張が強いですのでお好みでどうぞ。

がんもどきがなければ油揚げでも良いです。油分がある食材を1つ加えると満足感が出ます。

鶏肉を加えると一気に旨みが足されますが、野菜本来の優しさの滋味深さは少し失われますので、別の料理になります。鶏肉を加えるならば、みりんや濃口醤油など足していくと良いでしょう。

出汁がらは甘辛く煮付ければ、ご飯のお供に

出汁がらは捨てません。勿体無いので。

昆布とかんぴょうとしいたけは細かく刻みます。

にんじんとこんにゃくも小さく刻んで仲間に入れます。

余った精進だしに醤油とみりんを1:1で入れて

煮汁がなくなるまで煮詰めます。(15分くらいかな?)

こんにゃくは最初から入れると硬くなりすぎるので残り5分くらいになったら入れると良いでしょう。

以上で完成です。

粗熱が取れるまで冷ましましょう。(冷ますことで味が中まで浸みていきます)

スーパーで売っているフ●ッコなんかよりずっとずっと美味しいご飯のお供が出来上がります。

小分けにして冷凍しておけば、お弁当の副菜などにも活用できます。

1週間くらいで使い切るつもりなら、塩分、糖分は控えめでも良いでしょう。

長めに保存したい時はちょっと強めに味付けしましょう。

このため、調味料の分量はここでは書いていません。

味見しながら調節しましょう。煮詰めると味が濃くなるので、薄めで作り始めて

煮詰まった後に味見をしてから、お好みで醤油とみりんを加えていくと失敗がありません。

-だしについて

執筆者:

関連記事

弓削多醤油でポン酢を仕込む会、参加者募集中!

イベントのお知らせです。 10月12日(土)10時30分より 埼玉県にある醤油屋さんの弓削多醤油さんの蔵の併設のレストランスペースにおきまして、「だしと発酵、暮らしとデザイン」主催によるポン酢を仕込む …

関東大震災と昆布

今日は、昆布のトリビア話。   もともと東京には昆布で出汁を取るという文化はありませんでした。 これは、流通の関係だったり、利根川水系の水質の問題だったり、濃い味好きの江戸っ子の問題だったり …

枕崎、鰹節をめぐる旅 〜大量生産と家内制手工業〜

今回、枕崎の見学では、大量生産の現場も見せてもらうことができました。 一本一本、家族だけで手作りをしている鰹節もあれば、 海外からの技能実習生を使って、大量に生産している工場もありました。 そこには、 …

だしを濾す方法は何が良いか。

だしこしの際に使う布はどんなものがいいのかというお話。3話目。実は以前はキッチンペーパーやさらし布などをいろいろと比べて検証していましたが、あれから月日は流れ、私もますます磨きがかかり、情報をアップデ …

天然か人工か、二極対立ではないのかもしれない話

出汁について深みにはまっていくと、かつお節であれば近海一本釣り、昆布であれば天然物、しいたけであれば原木栽培、といったふうに気持ちが流れていきがちです。 それぞれには、理由とか言い分があって、そういっ …

だしと発酵、暮らしに関するヒントをデザインの視点を交えてお届けします。

2024年4月
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930