だしと発酵、暮らしとデザイン

丁寧で本物の日本の次世代の食生活を提案する、ライフスタイルWEBマガジン

だしについて

古くて新しい、サメ節

投稿日:

今日は、あまり知られていない出汁素材のお話です。

 

青森には、サメから節を作っているお店が1軒あります。

それを知って、「な、なにー?サメのふしだと!?どんな味だ!!」と気になって、ゴールデンウイークに、銀座にある青森のアンテナショップに行ったのですが、なんとお休みで撃沈。諦めきれずに、仕方なく、青森から送料を払って取り寄せてみました!

 

これがパッケージ

おお!たしかに「さめのふし」って書いてある!!

フムフム。こうやって煮出すのか。

今回はだしパックになっているやつを買いました。

でも、中身が気になるので、破いて出してみます。

香りは、いわゆる節類のそれ。厚削りなので、これはしばらく煮出さないと行けない感じだね

さあ、レッツ出汁!まずは昆布出汁を作ります。(ネットのだれかさんの情報をみたら、昆布と合わせた方が良いって書いてあったので)

60度でしばし煮出したあとに、昆布を取り出し、沸騰させたら、いよいよ鮫投入

おお、けっこう灰汁も出ます。香りは、どこかで香ったことのあるようなないような

味見。

お!出てる出てる。うまみが舌の奥をキュッとさせます。

 

漉します。

出汁がらを食べてみました。ちょっとプニっとした食感があり、安物のハムみたいな不思議な感じ。ふーん。

出汁はすこし濁りのある出汁が引けました。

 

感想。

メジ節(まぐろ)と近しい感じがあり、結構上品な出汁です。

しかし、家族には若干不評。あんまり口に合わなかったそう。

鶏ガラとあわせてラーメンスープを作ったら、結構おいしい魚介系のが出来るんじゃないかと思いました。

 

しかし、なんでまたサメなんだろうと思っていろいろ調べてみたら

もともと東北地方にはサメを食べる食文化があったみたいです。昔はハレの日の食事として食べられていたらしいのですが、もっとおいしい魚が出回るようになると、フカヒレになる部分だけ切って、他は海に投棄していたらしいのですが、近年、外国から怒られて、おいそれと捨てられなくなり、再び食材としての活用を考えたらしく、その一貫として節が作られたみたいです。もともとかまぼこなど練り物にはサメは使われていたらしく、サメを使うとすごく旨味が出るので上等らしいですよ。しらなかった。

 

ちなみに、余談ですが、サメは死後、体内に含まれる尿素がアンモニアに変質します。だから、鮫っていわゆるおしっこ臭いイメージがあるのですが、そのアンモニア成分のお陰で、腐敗菌が繁殖しにくいため、腐りにくいんだそうです。流通の発達していなかった昔は、行商人が内陸まで生で持って行って売っていたそうなんです。だから、なんと内陸のほうが刺身で食べられていて、沿岸部では煮たり焼いたりして食べられたようです。いまでもその食文化は残っているらしいです。

しかし、このアンモニア臭は2軒隣の家までにおう臭さ、とのことで、かなり癖があるようなので好きずきな味わいでしょうが、そこまでして海の生魚を食べたいと思うのは、日本人ならではのスピリットなのでしょうね。内陸では無塩の生魚というのは、ものすごい贅沢品だったみたいですよ。

 

鮫節はここで買えます。ご興味あれば、ぜひ!

 

 

-だしについて

執筆者:

関連記事

かつお節を巡るエトセトラ 3 〜どれ買ったらいいの?

お店にいくと、かつお節っていろんな商品があって、どれを買ったらいいのかよくわからない!! そこで、今日は、なにがどうなってるのか、パッケージから見るかつお節を解説します。 いろいろあっても2種類しかな …

味噌汁をパラダイムシフトする 1

タイトルからして何を言っているんだろうと思われるかもしれませんね。やっかいですみません。 えー、今回は味噌汁のだしについて、発想を変えてみようという試みです。   まず、最初に思ったのは、だしって、鰹 …

ぶなしめじ発酵かつお出汁

以前、マイタケのタンパク質分解酵素を使って鰹節を発酵させて出汁を取るの方法をご紹介しましたが、今回はブナシメジです。 マイタケ、確かに美味しかったのですが、分解酵素が働く60度の温度帯をキープして数時 …

【白い誘惑】つい加速してしまう旨味への欲求

うまみ調味料のお話。 味の素を代表とするうまみ調味料は、いわゆる「化学調味料」と言われるもので、いまや表面上は多くの人から嫌悪されている存在。とくに出汁を自分で取っている人に取っては目の敵のような存在 …

【コラム】うま味は、生き物最期の晴れ舞台だ

生きとし生けるものは、やがて必ずその命を終え、その体は土に帰って行きます。そのプロセスは「発酵」をともない分解されていきますが、同時に、「うま味」という特別な瞬間も作り出しています。   エ …

だしと発酵、暮らしに関するヒントをデザインの視点を交えてお届けします。

2024年3月
« 1月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031