だしと発酵、暮らしとデザイン

丁寧で本物の日本の次世代の食生活を提案する、ライフスタイルWEBマガジン

発酵を考える よく観察する

醤油にも一番搾りがあった

投稿日:

一番搾りというと、某ビールを思い浮かべますが、醤油にも一番搾りがありました。

そもそも醤油ってどうやって作るかを簡単に言いますと、大豆と麦と麹を塩水で寝かせて発酵させて、布で搾った液が醤油です。

つまり、搾るわけです。そこに一番搾りというやつが生まれます。

醤油は搾る前は大豆と麦がドロドロになったペースト状のものなのですが、これを布に塗って何枚も何枚も重ねて行きますと、自重で液が下に垂れてきます。これが一番搾り。この自重で垂れてきた液が一番搾り呼ぶのは、ビールも同じみたいです。で、自重では垂れて来なくなったら、今度はプレス機でぐいぐい搾りだします。これが二番搾り。だいたい三番搾りくらいまで絞り出します。

ちなみに、醤油の業界では、「一番搾り」ではなく、「一番だれ」と言います。

一番だれ、あんまり聞いたことないですよね。

なんであんまり聞かないかといいますと、雑味が無さすぎるんです。ビールなら、スッキリした飲みごたえってことで、いい感じかもしれませんが、醤油って、やっぱりちょっと苦味やえぐみなど絶妙なバランスで含まれているほうが良いみたい。だから、二番だれ三番だれと合わさったくらいがちょうどいいらしい。あとは、一番だればっかりを商品にしちゃうと、残った二番、三番だれだけだと醤油がえぐみっぽくなりすぎちゃうみたいで、商品価値が下がっちゃうので、あんまりたくさん一番だれを出せないっていう事情もあるみたい。なるほどね。

もちろん一番だれも、僅かながら流通しています。普通のスーパーじゃまず出会えないでしょうが、専門店や蔵元にいけば買えます。

写真の一番だれは、先日のヒカリエのイベントでチョーコーさんのブースで買いました。これは火入れもしていない生醤油!菌が生きたままなので、常温で放っておくと、どんどん発酵が進んでしまいます。開封前から要冷蔵。これ、なかなかないです!

テイスティングもしてみました。確かに、スッキリしていてサッパリ。白身とか、冷奴とかに合わせると、素材の風味を生かした味わいになりそう。なるほど、一言に醤油といっても奥が深いもんだなあと思った次第です。

ちなみに、醤油を絞った後の残りカスが「もろみ」です。居酒屋とかで、もろきゅうとかいうメニューを頼むとキュウリの上に乗ってくるアレです。あれはあれで美味しいんですよね。とはいえ、もろみの需要はそこまで多くないみたいなので、燃料になったり、飼料になったりされることも多いみたい。

醤油の世界、まだまだ深掘りしてみたいなと思います。

-発酵を考える, よく観察する

執筆者:

関連記事

日本の発酵茶を楽しむ

日本のお茶といえば緑茶ですが、ある一部の地域では後発酵茶というジャンルのお茶が生産されています。いわゆるプーアル茶に近いお茶で「黒茶」といわれている類のものになります。菌による発酵がされているお茶なの …

醤油はイスラム圏では売っちゃいけない?

今日のテーマは、醤油です。 いまや世界中で愛される醤油ですが、イスラム圏ではハラール認証された醤油しか売ってはいけないんです。なぜかといいますと、イスラム圏ではアルコールは宗教上の理由で禁忌となってい …

デザインを解剖 〜送水口 2

送水口博物館にて、深〜い世界をたっぷり堪能 えーと、このサイトは「だし」と「発酵」がメインなのですが、 先日、送水口の記事を書いたら、だしや発酵よりも面白い!という反響が多く、どうしたもんかと思いなが …

【1年越しの夢】自家製醤油、解禁

ついにこの日を迎えました。 いまから、ほぼ1年前。 九州は糸島半島にある、醤油界の若きレジェンド「ミツル醤油」さんが東京に醤油作りのワークショップに来るという情報を入手し、これはなにがなんでも行かなく …

ぬか漬けDays 〜冬瓜

本日のぬか漬けは、冬瓜です。 夏が旬のこの野菜、名前の由来は、確か、冬まで日持ちするから冬瓜だとかなんとか・・・ まあ、そんなトリビアはさておき、冬瓜。出汁野郎としては、やっぱり煮物にするのが一番でし …

だしと発酵、暮らしに関するヒントをデザインの視点を交えてお届けします。

2025年12月
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031