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菌はドミナント戦略

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今日は発酵のお話。

菌って、ドミナント戦略なのをご存知ですか?

ドミナント戦略って何かといいますと、コンビニなどチェーン店が特定の地域にたくさん出店することで他のチェーン店を追い出して市場を独占するというあれです。同じエリアにたくさんセブンイレブンがあったりするやつです。これは経済においてはよくある手段のようで、かなり戦略的に行われているようです。

実は菌の世界でも同じようなことが起こっていまして、ある特定の菌が繁殖すると、他の菌が入ってこれなくなります。これを拮抗作用というのですが、我々人間は経験的にこの作用をうまく利用してきまして、たとえば牛乳を乳酸菌で満ち溢れさせることで、他の菌を寄せ付けず、ヨーグルトという食べ物として牛乳よりも長く保存することができるようになりました。牛乳よりヨーグルトの方が日持ちしますよぬ?よく考えたら、菌なんて何千何万という魑魅魍魎たちが空気中には蠢いているのに、なかなか腐らないというのは、菌のドミナント戦略があったからです。

しかし、盛者必衰の世界は菌でも同じで、その空間を独占していた菌も、最初は小勢力だった別の菌が何かのきっかけで一気に勢力図を塗り替えてしまうというのもよくあることで、油断していると足元をすくわれてしまうというのも、人間社会の経済活動と似ていたりします。

それは時にグラデーションのように移り変わり、バトンタッチしていきます。

ぬか床をダメにしてしまうのもこの現象が起こっています。

人が風邪をひいたときも体内ではこのような菌の戦いが起こっています。

しかし、一度市場を独占したからといって、怠けているとあっという間に勢力図が変わります。風邪を引くのも治るのも、この勢力争いの結果で、私なんかは、毎日ぬか床を眺めていると、三国志を見ているようで面白いです。

ミクロコスモスからマクロコスモスまで、なんだか通じてしまうのがこの世界の面白いところ。菌を学んで世界を知る。っていうこともあったりするんです。

学生のころ、授業で椅子のデザインで有名なチャールズレイイームズの映画powers of tenというものを見せてもらいました。この映画は、草原で寝ている人を俯瞰で見るカットから始まり、10m、100m、1000mと映像が引いていき、やがて地球サイズとなり、どんどん引いて広大な銀河へといき、最後は宇宙の果てにいきます。その後、今度はどんどんとズームしていき、寝ている人の皮膚にアップしていき、毛穴から細胞、核、さらにその先へと進むだけの映像なのです。しかし、その最後の地点は宇宙の成れの果てと同じような世界が広がっています。菌と経済の世界と通じるところを感じました。

もしかすると、日本の経済の行く末は菌の世界にヒントがあるのかもしれない、とついつい小さくも大きなことを考えてしまうのでした。

発酵なんてマニアックな世界と思いがちですが、このような視点もありますので、ちょっと足を踏み入れても面白いですよ。

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