醤油界の旨み爆弾、さいしこみ醤油
日頃、だしのことばかり考えているわけですが、だしはあくまでだしであって、それが目的ではなくて、美味しい料理をつくるための手段であって過程であって、ベースであって、うんぬんかんぬん、、、なーんて小難しくグルグルしてしまうのですが、
えー、何が言いたいかといいますと、だしだけ語っていても、片手落ちなので、もっと視野を広げないといけないよね、ということで、今回は醤油トークします。
幸い、醤油は発酵食品ですし、このサイトの趣旨からも外れないし、良かった良かったという感じです。
さて、前置きが長くなりましたが、みなさん、さいしこみ醤油ってご存知ですか?これ、すごいです。
日頃、醤油なんて濃口か薄口かくらいしか聞いたことないかもしれませんが、いろいろ種類がありました。
(さいしこみ醤油、これは「再仕込み醤油」と書くもので、JAS規格ではひらがな表記なので、「さいしこみ醤油」となります。)
再仕込み、書いて字のごとく、再度仕込んだ醤油のことなのですが、どういうことかといいますと、一度作った醤油でもう一度醤油をつくるんです。
は?まだ意味分かりませんね。
醤油って、大豆と小麦と麹と塩水で作るのですが、塩水の代わりに一度出来上がった醤油で醤油をつくるんです。
再度仕込むことで、旨みがすごいことになるんです。そりゃそうかもしれませんね、何とも贅沢な醤油です。誰がそんなこと思いついたのでしょうね。
(「たまり醤油」っていう旨み界でのもう一つのヒーローは居るのですが、独特の風味があるし、あまり全国区ではないので今回は外しておきます。)
刺身醤油はさいしこみ醤油のことが多い
醤油もいろいろな銘柄が出回っていますが、規格としては5種類しかなくて、刺身醤油っていう分類はありません。商品名としてそう呼んでいるだけななので、パッケージ裏の記載を見ると、さいしこみ醤油って書いてあることが多いです。(もちろん原料に濃口醤油やたまり醤油に旨み成分を添加した刺身醤油もありますので、必ずさいしこみ醤油というわけではありません。)
刺身にはうまみの強い醤油があうということなので、さいしこみ醤油が採用されていることが多いのです。さいしこみ醤油というネーミングは聞いたことはなくても、いつのまにか使っていたという人は多いかもしれません。
ちなみに、刺身醤油ですが、赤身にはとても合いますが、淡白な白身には、普通の濃口の方が合う気がします。うまみと香りが強すぎると、白身の繊細な風味を醤油が勝ってしまうので、注意が必要です。刺身盛り合わせを食べるときには、2種類の醤油を用意できると、グルメ度がアップすると思います。是非。
健康のために減塩するなら、さいしこみ醤油を選ぼう
塩分を気にする人は「減塩醤油」というのを使っている人もいるかもしれませんが、そんな人にこそ、さいしこみ醤油はオススメです。
さいしこみ醤油って、濃口醤油や薄口醤油よりも塩分濃度が低いのですが、旨みが強いので、少量でも満足感があります。
減塩醤油は、塩分を少なくしている分、本来の醤油の発酵による旨みと香りの立ち方が少なく日持ちもしないため、そこをキープするために添加物をたくさん入れているので、かえって健康に悪かったりすることもあります。
そもそも、人間は美味しいと思える塩分濃度って0.8〜0.9パーセントと言われているので、減塩醤油を普通に使うと、ちょっと味が足りないんです。で、減塩醤油だから、たくさんかけても大丈夫という、都合の良い理解をして、結局ドバドバかけて美味しいと思えるところまであげちゃうみたいなんです。
そういうの、醤油に限らずありますよね、糖質オフビールだからといって、いつもより多く飲んでしまって、意味なし、みたいなこと。人間って、プラマイゼロになるなら、より多く食べたい飲みたいみたいな思考になりがちで、ダメな生き物ですよね。
ですから、さいしこみ醤油を少量使うほうがよっぽど満足度高く健康的に減塩になるということなんです。
だしとのマッチングはケースバイケース
だしと組み合わせるときは、注意が必要です。もともとだしも旨みを抽出した液体ですから、そこにさらに旨みの強いさいしこみ醤油をかけ合わせると、うまみの針が振り切っちゃう可能性があります。めんつゆみたいに、うまみがガツンとくるものには良いかもしれませんが、繊細な素材の味わいをという時には、やり過ぎ注意です。何でもバランスが大事ですね。