乾物系の出汁は、脂分が少ない方が美味しい
一般的に、魚は脂が乗っている方が美味と言われがちですが、
出汁に関しては、脂分は酸化の原因になるので、なるべく脂が乗っていない魚の方が良い出汁が出ます。
鮮魚として出回る魚とうまく住みわけできるので、それはそれで良いことかもしれませんね。
さて、このブログではまだ小魚、青魚系の出汁に関してはまだ記事を書いていませんが、
煮干しを差し置いて、いきなりマイナーなあご(トビウオ)の話から始めてみます。
トビウオは、ご存知のように、魚のくせに羽が生えていて海の上をビュンビュン飛んでる謎なやつです。以前、船に乗った時に並走して飛んでいるのを見たことがありますが、結構な距離を結構なスピードで飛んじゃうので、そんなに出来るならもう魚をやめて鳥になっちゃえば?と思ったことがあります。
生き抜くために進化した一つの形なのだと思いますが、とにかく筋肉がすごくて、余分な脂がほとんどないのです。脂肪含量は1パーセント!プロボクサーだって体脂肪率3〜5パーセントなのですから、人間だったらもう大変なことになってしまいます。それくらい飛ぶってことは大変なんですね。
そして、脂分を嫌いたんぱく質が旨み物質に変える出汁界においては、最高の素材になるということになるのです!
(普段デスクワークで太り気味の私は、出汁素材には向かないですね。。)
すっきりとした旨みと魚の風味
出汁の味わいは、煮干し(カタクチイワシ)のようにガツンとした青魚っぽさは少なく、
とても洗練された味わいがします。とはいえ、カツオ節のように煙で燻していないので、燻製独特の風味はしないので、いい感じに魚感が感じられます。
他にありそうでどこにもない感じがあご出汁にはあるような気がします。
最近は、東京でもあごだしを使ったうどん屋さんやラーメン屋さんも見かけるようになりました。
スーパーなどでもあごだしのつゆや出汁を見かけます。とはいえ、やっぱりかつお節に比べるとちょっと外様な感じはあります。
もともと九州で多く使われてきた素材で、お正月のお雑煮にはあごだしを使うそうです。
以前、長崎に行った時に、あご出汁と麦味噌で作られた味噌汁が関東のそれと全く違う味わいで美味しいなあと思ったことがあります。
小さな居酒屋に入っても〆の味噌汁はやっぱりあご出汁でしたし、なんだか日常にしっかり定着している印象がありました。
関東圏でもトビウオは取れると思うのですが、なんでこちらでは出汁としてそんなに定着しなかったのでしょうね。すっきりしすぎなのが東京の人の味の好みにマッチしなかったのかな、とか思っちゃいます。
我が家でもあごだしはそんなにしょっちゅう食卓に上ることはなく、時々思いついたように、よし、今日はあご出しだ!と思ってやる感じで非日常な出汁です。やはり、幼少からの味の刷り込みがされていないと、なかなか定着しないのかもしれませんね。でも、選択肢が増えるというのは食事の楽しみが増えるということなので、なんでも手に入るようになった最近の流通には、ありがたいなあと思う次第です。
焼き干しが、香ばしさも加わってグッド
あごは、煮干しも焼き干しも出回っていますが、やはり味で言えば焼き干しに軍配が上がりそうな気がします。
焼き干しは炭火でじっくりと焼いて干すのですが、旨みの凝縮感が煮干しよりもあるような気がします。しかし、煮干しよりも手間暇がかかるので値段は張ります。あと、身がぐっとしまっていますので、出汁をとったあとの身を食べても、硬くて食べるには適していないなという感じしますので、出汁ガラの二次利用という観点からも、なかなか厳しいなと思うところはありますので、ハードルは高いです。
でも、他にはない特別な旨みがある出汁なので、特別な日には特別な出汁を、ということで使っていければいい素材なのかもと思う今日この頃でした。(あくまで東京で生まれ育った筆者の感想です)
そのうち、うちであご出汁を取る時に、あご出汁の上手な取り方をご紹介しようと思います。