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【三河みりん】ホンモノはここにある

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先日、だしソムリエのツアーで、愛知県の碧南市という所に、みりんと白しょうゆの醸造所に見学に行きました。

今日はそのときのみりんのレポートをしますね。

 

みりん、和食にはかかせない調味料の1つだとおもいますが、いままであまり深くその存在を考えたことはありませんでした。

本みりんと、みりん風調味料というのが2種類あって、みりん風のほうが偽物でまがいものだから、ちゃんとした本みりんを使うべき、という程度の知識しかなく、本みりんさえ使っていれば、まあ間違いないだろうくらいにおもっていました。

そんななか、今回、三河のみりんの蔵元を見学できるということで、参加してきてその考えが大きく変わりました。

まず、本みりんとはなんぞやと言いますと、簡単にいうと、麹ともち米を焼酎につけ込んで発酵させた液体。麹がもち米のでんぷん質を分解して糖分に変えるので、甘い液体になります。また、焼酎で漬け込んでいるので、腐敗せずに長持ちします。アルコールの成分で肉や魚の臭みが抑えられ、糖分が食材に照りとコクをあたえます。要するに、甘酒を焼酎で作ったようなものです。度数も14度前後と結構高いです。お正月のお屠蘇には今でもみりんがつかわれますし、昔は、料理用ではなくリキュールとして飲まれていたようです。近代に入ってからは、女中さんが料理の際に、主人に隠れてみりんをちょこっと飲むのが楽しみだったという逸話もあるくらい。たしかに、砂糖が貴重だった昔は、これほど甘くておいしいお酒があったら、きっと有り難がられたことでしょう。

一方みりん風調味料は、甘味は水飴や砂糖で作り、風味や色を人工的にみりんに見せかけたモドキの液体。アルコールもほとんど入っていないので、酒税法にも引っかかりません。よって、製造には手間も暇も許可もかかりませんのでたぶん価格差が3〜5倍くらいあります。見た目はみりん風ですが、こんなものを使うのは、ただ単に砂糖を使うのと変わりませんので、ならばいっそ砂糖を使ったほうが良いくらいです。本みりんを使ったときの料理の美味しさのグレードアップ感を実感すると、みりん風調味料はほんとうに意味の無い液体だというのが分ります。

さて、次に、現代の本みりん事情にうつります。

本みりんといわれるものでも、大手の大量生産品は、とにかく早く安く大量に作るために、原料は外国産だったり、温度も1年中いつでも発酵が進むように自然の温度とは関係なく温度管理がされていて、しかも、人工的に甘味が足されていたりするんだそうです(なんとショック)。本みりんだけは信じていたのに、やはりこれらも現代においては工業製品となってしまっていたようなのです。同じような話は現代の醤油事情にも通じるところがあるように感じました。

そんな中、今回訪れた、愛知県碧南市にある杉浦味淋さん。三代目となるご主人の杉浦さんが会社を引き継いだときに、安売り競争で疲弊していた生産体制をやめて、昔ながらのみりんの製法を復活させ原料にもこだわり、時間をかけて本物のみりんを作るということをすると一大決心をされました。今の時代、ちゃんとした「本物」は、分ってくれる人にはちゃんと分ってもらえます。軌道に乗るにはそれなりに時間と労力もかかったことでしょうが、いまでは、ここのみりんじゃなきゃだめという固定客もついて、じわじわと成長しているとのことです。素晴らしいことです。

 

製法ですが、みりんを仕込む時期になったら、ムロで培養した麹ともち米を焼酎とまぜて大きなタンクに仕込みます。

季節の温度、時間に身を任せて発酵を進めます。

自然の発酵ですから、いつどうなるか見ていないと行けないでしょう。きっと日々我が子のように気にしているんじゃないかなと思います。

やがて、絞る時期が来たら、もろみごと袋に詰めて圧搾して液体絞り出します。漉された液体がみりんです。

大きなタンクにはいろいろなメモ書きがチョークで書いてありました。仕込んだときの情報でしょうか。

漉したみりんは商品によって、さらに1年熟成させたり、3年熟成されたりして、瓶詰めして出荷されていきます。

いろいろ機械は入っているものの、かなり手作業でやっている感じが伝わってきます。

 

家族経営の小さな蔵なので、ひっそりと情緒ある佇まいの場所でした。それもまた良い。

 

こうして出来上がったみりんですが、

一口舐めると、なんと奥深い上品な甘さでしょう。料理に使うのがもったいなく思えるくらい、みりんの概念が変わるような美味しさが広がりました。こんな上等なものを料理に使うなんて贅沢だなあ。たぶんそれだけでごちそうになる気がします。素材に勝る料理は無いですね。なかなか普段使いにはもったいないですが、ここぞという時には是非活用させてもらいたいと思いました。

ちなみに、3年熟成のものは、ご覧のように琥珀色を超えてもはや黒蜜のようになっています。ただ単に熟成がされただけ以上の何かが潜んでいるような深みが感じられました。凄すぎてしばらく思考停止。みりんなのにもはやどう料理に使ってよいのか分らないというパラドックスに陥りました。(あとで聞いたら、コクを強くしたい煮物や、かえしなどに使うと良いそうです。)

 

小さな蔵元さんは、大量生産の大手にはできない手仕事ならではの付加価値を作ることができます。その等身大の作り様は、しばしばわれわれに感動や共感を与えてくれます。これからの時代、食はますますこうあるべきだと思いました。そして、それがいつか大手を凌駕するようなことも起こりえるじゃないかと思えてしまいます。しかも、やっていることがまったく奇をてらったことではなく、むかしからのことを丁寧に一生懸命つづけているだけというのが良いです。温故知新なのかもしれませんね。日本酒なら寺田屋本家、パンならタルマーリー、醤油ならミツル醤油、と、いままでいろいろ感動体験をしてきましたが、ここに、みりんなら「杉浦味淋」という、インプットがされた一日になりました。

 

杉浦さんのお人柄も素晴らしく、私のような素人にも丁寧にお話をしてくださいました。また、九重味醂さんへの敬意、地域のみりんを愛する気持ちも沢山伝わってきました。また、なぜ三河地方がみりんの産地となったのかという歴史的地形的背景などもご説明いただき、ブラタモリ的満足感も味わえました。

ありがとうございました。また購入させていただきますね!

http://www.mirinya.com/

 

 

 

 

p.s.

午後は白しょうゆの蔵に見学に行ったので、そちらはまた別に記事を書きたいと思います。

 

 

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