干し椎茸は水出しが基本
さて、本日は干し椎茸です。カツオや昆布と比べると、少し印象は薄いですが
旨みに奥行きを与えてくれるとってもナイスな素材ですので、覚えておきましょう。
干し椎茸は、生椎茸にはないグアニル酸という旨み成分とレンチオニンという香り成分を持っています。
ともに乾燥させることで生成されるものなので、同じ旨みを生椎茸で演出することはできません。
さて、この干し椎茸ですが、出汁を引くのは簡単です。
干し椎茸は5℃が一番出汁が出る温度なんです。
ですから、水につけて、一晩冷蔵庫に入れておけば終了なのです。
なんて簡単。
電子レンジを使ってもっと早く戻せる技とかもありますが、基本は水戻しが一番です。
火入れは強火、沸騰後には煮過ぎない
旨み成分のグアニル酸を生み出す分解酵素は60〜70℃で活性化しますが、グアニル酸を分解する酵素が45〜50℃で活性化するので
ぬるま湯だとグアニル酸が壊れてしまいます。なので、その温度帯をなるべく早く脱するために、
強火で一気に加熱します。
そして、香り成分のレンチオニンは沸騰時点で最も多くなり、沸騰が続くと減少します。
なので、沸騰したら、火を止めます。
これで美味しい椎茸だしの完成です。
冷水戻し一晩 → 一気に沸騰 → 完成
と覚えておきましょう。
分量は水1リットルに対して中サイズ1〜2個がオススメです。
水戻しの前に日に当てよう
干し椎茸を戻す前の一手間として、1〜2時間、日に当てるのがオススメです!
日にあてるだけで、なんとビタミンDという成分が増えるのです。
これ、エリゴステロールという成分が紫外線によってビタミンDに変化するという仕組みなのですが、
ビタミンDはカルシウムの代謝を助ける働きがありますので、骨粗鬆症などカルシウムを積極的に摂りたい方にオススメなんです。
どんこと香信の違いは?
スーパーに行くと、「どんこ」と書かれたものと「香信」と書かれたものが2種類あることに気づくと思います。
「どんこ」の方が値段が高いので、そちらの方がきっと美味しいのだろうと思ってしまうかもしれませんが、
出汁をとるということに関しては、どちらでも同じなんです。
どんこと香信の違いは、椎茸のかさの部分がくるっと内側に閉じているか、開いているかの違いだけです。
椎茸は成長につれて傘が開いていきます。
一般的に、傘が開くと香りが飛んで美味しくなくなると言われていますが、それは生で食べるときの話。
干し椎茸にしたらほとんど変わりません。
じゃあ、何でどんこが高くて珍重されているの?と言えば、
戻した椎茸を料理として使うときに、
肉厚で大きな椎茸の方が食べ応えもあって噛んだときのジュワッと感がすごいですし、
立派などんこはなかなか取れない貴重なものということだからです。
「花どんこ」と言われるものが最上級で、キロ数万円したりします。
贈答用や高級和食屋さんでしかお目にかかれないものですね。宝くじ当たったら、買いたいです。
原木栽培と菌床栽培
スーパーで買う時に、どちらかというと、原木栽培か菌床栽培かということを気にするべきかと思います。
最近はほとんどが菌床栽培でハウスで作られている人工的な椎茸です。栄養剤をたくさん入れて育てているので
軸の足が太いのが特徴です。極端に太くなりすぎるので、科学的根拠はありませんが軸に人工的な成分が残っているのではないかと気にして、軸は食べないという人もいます。
原木栽培は、今や貴重な椎茸となりましたが、やはり天然に育てられたキノコなので、香りも高く、出汁にしても差が出ます。
美味しい出汁を引き出したい時は、原木栽培のものをお勧めします。
国産か中国産か
国産の方が値段が高いです。中国産の3倍くらいします。
両方を同じ条件で出汁のテイスティングしたことがあるのですが、
好みの違いという感じで、中国産がまずいということはありません。
以前は、農薬とかそういう悪いものが残ったものが入ってきていたそうですが、
ここ最近はちゃんと検査されて入ってきているので、基本的には心配はないと言われています。
あとは個人の判断ですね。
でも、日本の椎茸農家がどんどん中国産に押されてきて困窮してきているという話も聞きます。
将来にわたって、美味しい国産の椎茸を食べるためには、国産を買うのが良いのではと個人的には思っています。
国産の原木栽培の椎茸にはこのようなマークがパッケージに貼られていますので、
このマークのを買っておけば、まず間違いはないと思います。