だしについて

関東大震災と昆布

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今日は、昆布のトリビア話。

 

もともと東京には昆布で出汁を取るという文化はありませんでした。

これは、流通の関係だったり、利根川水系の水質の問題だったり、濃い味好きの江戸っ子の問題だったり、昆布文化が根付かないいくつか要因がありました。

では、いつから東京で昆布が普及するようになったかというと、実は関東大震災以降なんだそうです。1923年ですから、まだ100年も経っていません。意外と最近なんだな。だから、下手したら我々の祖母祖父世代なんかは、昆布なんて慣れていないという人が若い人より多いかもしれません。

しかしなぜ関東大震災以降に関東に広まったかと言いますと、実はあの美食家、北大路魯山人が関係していたんだそうです。

もともと赤坂の日枝神社の敷地内に星ヶ岡茶寮という茶寮があったのですが、この場所が、関東大震災の後にこの場所が魯山人に貸し出され財界人たちが集う高級料亭となりました。ここでは、震災後の復興の打ち合わせが日々行なわれ、関西から多くの財界人がこちらに呼ばれてきたそうです。復興のビジネス話をする場でした。関西のVIPをもてなす接待になりますから、彼らの舌を満足させる料理が求められます。関西人には東京の濃い味付けは馴染みません。やはり、何をするにもちゃんとした上等な昆布が必要だったというわけです。魯山人ももともと京都の出身ですし、東京にはろくな昆布が無いと常々愚痴っていましたので、この機会に大阪から昆布屋さんを呼び寄せたそうなのです。凄いですね。財界人のために大阪から昆布屋さんごと連れて来ちゃうなんて、いまでは考えられません。魯山人はいちいちやることがビックです。(ちなみに、魯山人はやることがビックすぎて、経費使い過ぎて後に料亭から解雇されました。。。)

そして、大阪から呼ばれた昆布屋さんが築地にある吹田商店です。いまではすっかり東京に根を張って商売をしていますが、もともとは大阪の昆布問屋さんです。(いまはもう大阪にお店はありません)

↑こちらは吹田商店の当時のパッケージの復刻版。あくまで東京支店だったのですね〜。

 

ということで、それまで東京にはろくな昆布は入ってこなかったし、そもそもだれも見向きもしなかった昆布が、震災を境に魯山人のおかげで少しづつ東京にも広まっていったということなのです。ただ、いきなり家庭に広まったというよりは、昆布を使う料理人が増えていって徐々に家庭にも広まっていったというのが正しいでしょう。

スクラップ&ビルド。そこには新しい空気も入って来る。

おそるべし、関東大震災。おそるべし、魯山人。

 

文化や習慣、物や考え方というのは、実はこういった外的要因によって大きく変わっていくということがあるのですね。私はてっきり鉄道網の普及で自然と広まって行ったとか、そういうことだと思っていたのですが、紐解いて行くと面白いものですね。

そういえば、2011年の東日本大震災の後、関東以北の食材が敬遠されたときに、ずいぶんと九州の食材がこちらにやってきたのは記憶に新しいですが、焼きあご出汁なんていうものも、それまで東京ではあまり馴染みがありませんでしたが、その頃から随分とメジャーになってきたような気もします。思い返せばそういう外的要因によるトリガーもあったのかなと思います。今後も、社会に大きな何かがあると、食の文化にも変化があるんでしょうね。次は2020年東京オリンピックかしら?どんな食文化が広がるんでしょう。いまから楽しみです。

 

※今日の記事は、吹田商店の社長さんから聞いたお話で構成しました。

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