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生まれと育ちで味も変わる、原木しいたけの面白さ

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ここ最近、訳あって日本産・原木乾しいたけに毎日のように向き合っております。そんななか、ご縁があってしいたけの菌種、あるいは、どういった木で育ったかによって味わいが違うというお話をいただき、サンプルをお送りいただきました。

うむむ。乾しいたけって一つじゃないんだ。

一般的にはどんこ、香信といったしいたけの傘の開き具合の差だったり、菌床栽培か原木栽培か、あるいは国産か中国産かで語られることの多い乾しいたけですが、実はもっともっと深い違いがあったのです。

 

菌種で変わる味わい

よく考えたら、トマトだって大きいの小さいの、甘いの酸っぱいのいろいろありますよね。同じように一口にしいたけと言っても実はいろいろあるんです。菌種と呼ばれるもので、一年を通して生産できるように様々に改良されたり、生で美味しいとか、乾して美味しいとかいろいろあるんです。その中でも乾しいたけとしては「240」「115」あたりが美味しいと言われています。この3桁の数値が菌種を表していまして、これは菌興しいたけ協同組合というところで開発されていて、全国のしいたけ農家さんはここから種菌を買って原木に打ち付けてしいたけにします。森産業というところでも菌種を作っていて(どちらかというとこちらが元祖?)、そちらは「ゆう次郎」とか「与一丸」とか「ろく丸」とかちょっと可愛いネーミングでそれぞれの菌を開発しています。

で、菌種が違うとやっぱり味わいも違って、去年は「240」と「ゆう次郎」を味比べしたりして遊んでいたのです。

どんな風に違うかというと、ふくよかな香りがしたり、ツンとする香りがしたり、甘かったり、うま味が強かったり、それぞれに個性があります。さらに今年の夏は、春に採れた「春子」秋に採れた「秋子」と呼ばれる収穫時期によってどれだけ味わいが変わるかという遊びもしていました。

そんなわけでしいたけって色々あるなあと思っていたのです。

 

育つ原木によっても味わいが変わる

しかし、ここにきてさらに新しい選択肢があることを教えられました。

「同じ菌種でも、どんな原木で育つかで味わいが違うんですよ〜」とのこと。なんと!それは非常に興味深い。。。

ということで、さっそくサンプルを送っていただきテイスティングをいたしました。

今回揃えたのは、240と115でそれぞれクヌギとコナラで育ったものを同じ条件で出汁をとりました。

(冷蔵庫に一晩水につけたのちに、強火で80度、20分保温後に1分煮沸、冷めたところで味わう)

しいたけの香りが部屋中に包まれます。

さて整いました。

テイスティングをしていきましょう。

●240(クヌギ):原木の香りがして口の中にふくよかな甘みが感じられました

●240(コナラ):しいたけらしい香りがありながら、そこまで主張しない感じ

●115(クヌギ):ツンとくるしいたけの香りが強く、好みが分かれる味わい

●115(コナラ):香りと味わいのバランスが良く、おだしに使うときっと万能に使えそう

びっくりするほどに味わいが違いました。

ううー、こうなると、菌種の違いも大事だけど、どこで育ったかも大事ってことがわかりました。(悩ましいぜ、しいたけ君)

でも、考えてみれば当たり前かもしれませんね。しいたけは原木の養分を吸って育っていくわけですから、どんな原木に育つかでその原木の影響を受けますからね。これは面白いなあ。

 

現在、一般的に流通している乾しいたけは、菌種や原木を指定して手に入れることはなかなか難しいです。だからこういった遊びはなかなかできません。でも、こういう単体の良さで売り出したりしたら、付加価値がついて良いんじゃないかなあと思ったりして、しいたけ業界のこの先に思いを馳せるのでした。

美味しくて楽しい、しいたけの世界。

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