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一番出汁の引き方

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さて、今日は改めて初心に戻って、一番出汁の引き方をお伝えしたいと思います。

「一番出汁」という言葉は、お料理をあまりしない人でも一度くらいは耳にしたことがあるのではないでしょうか。「一番出汁だから、一番美味しいの?」という声を聞いたこともありますが、美味しいかどうはさておき、一番最初に出したお出汁が一番出汁になります。二番出汁というのもあります。それぞれに特徴があります。

では、一番出汁と二番出汁の違いはどこにあるかと言いますと、緑茶の「玉露」をちゃんとした入れ方で飲んだことがある方には説明がしやすいのですが、まさにあの世界と似ています。玉露の一煎目は、甘みとうま味が強く、余計な苦味や雑味が一切ない味わいです。二煎目になると、今度はうま味ではなく苦味や雑味が立ってきます。これはこれで悪くないのですが、明らかに味わいに変化が生まれます。それと似たようなことがお出汁の世界でも起こります。

一番出汁は一煎目なので、魚臭さの少ない雑味のないうま味が特徴になります。二番出汁は、逆に魚らしいコクや雑味が出てきて、うま味はあまりないお出汁です。しかし、玉露同様に、温度や時間に気を使わないと洗練された一番出汁は引けません。簡単に言うと、一番出汁は低めの温度でサッと取り出し、二番出汁は、コトコト沸騰させて煮出します。まとめると以下のようになります。

  • 低温で行う
  • 短時間で抽出する
  • 混ぜたり絞ったりしない

と言うことになります。そして、一番出汁で引いたお出汁は、とにかく雑味の少ないうま味の洗練されたお出汁になりますので

  • お吸い物
  • 茶碗蒸し

といった、洗練されたお料理に向きます。もちろんお味噌汁を作っても美味しいのですが、せっかくのお出汁なのに味噌の方が風味が勝ってしまうこともあり、ちょっと勿体無い感じもします。

また、荒節と本枯節でも風味の出方が変わります。荒節はいわゆる「花かつお」と呼ばれるカビ付け熟成していない鰹節。燻した香りと魚のパンチが強く残る鰹節で、本枯節は熟成のおかげで雑味が抜けた洗練された美味しさになります。

と、いろいろと書いてしまいましたが、とにかくいろいろな選択肢と出し方の組み合わせが数多くあり、なかなか系統立てていくことが難しい世界でもあるのですが、まずは一番ベーシックで間違いの少ない鰹節(本枯節)と昆布で取る一番出汁の引き方を改めてお伝えいたします。(※あくまで私のオススメの方法です)

 

鰹節(本枯節)と昆布の一番出汁

  • 水:1L
  • 昆布:10g
  • 鰹節(本枯節):20g

以上のレシピで始めます。

まずは、昆布を水に浸すところから。

「昆布はよく絞った布巾でかるく拭いてから」と書かれていることも多いのですが、昆布の周りについている白い粉はマンニットと呼ばれるうま味成分ですので、そこを拭き取ってしまうと、せっかくのうま味が減ってしまいます。(ハッピーターンの粉を拭いてしまうようなものかな。)なので、パッとみてゴミやホコリがついていなければ、そのままお水に浸してOKです。(ただし、昆布の保存状態が悪いだけの場合にはカビたり別の粉が吹いていることがありますので、なんでも粉吹いていれば良いってものでもありません)

だいたい1時間くらいは水につけておきたいです。

1時間くらい置くと、ご覧のように2倍くらいになります。デカッ(元の昆布の大きさに戻ったとも言います)

そしてここからポイント。

昆布は弱火でじっくり火入れしていき、鍋肌にフツフツと気泡がつくくらいの温度(60〜70度)で20分ほどキープします。

グラグラと沸騰させると、昆布独特の磯臭さが出汁に溶け込んでしまうので一番出汁の繊細さを汚してしまいます。

そして、一度出汁の味見をして、口の中にふわんと広がるうま味を感じたらOKです。昆布は取り出します。お役目終了

(ちなみに、昆布に切れ目を入れると良く出汁が出るようになるということを書いている人もいますが、短時間で出したい時には悪くないのですが、同時に切り口から水溶性食物繊維が溶け出してきて、独特のヌメリが多く出てきます。これは良し悪しです)

一度沸騰させましたら、火を止めて3分ほど待ちます。

そうすると、だいたいお湯の温度は85度くらいにまで下がります。

この温度を下げる作業に、差し水をする派もいますが、出汁が薄まってしまいますので、私は待つ派です。また、そもそも沸騰させない派もいますが、一度沸騰させるとアクが浮いてくることがあるので、私はそこで不要なアクを取ります。

そして、鰹節を一気に入れます。

ここからは早いですよ。

鍋に鰹節が染み込みながら落ちていきます。この時には一切触りません。

そして3分ほど立ったところで

そーっと濾します。

腰布に落ちた鰹節は絞りません。緑茶は最後の一滴が美味しいと言いますが、鰹節はそこまで最後の一滴までこだわらずに、自重で落ちたところでサッとあげてしまってOKです。

これで澄んで洗練された黄金の一番出汁が抽出できます。

前半のじっと待つ時間と、後半のササっとフィナーレのコントラストが特徴の一番出汁。実に香り高く美味しいお出汁が引き出せます。

この出汁さえあれば、自宅のお料理が最高に美味しいものに変身します。

(脂の多い鰹節の場合には出汁が濁ることがあります。また、水の硬度によっても濁ることがあります)

 

いかがでしたでしょうか。

改めて一番出汁の引き方を余すところなくお伝えしてみました。

コツはありますが、慣れてしまえば難しくはありません。

そして、一つ言えることは、どんなに丁寧に作業しても、質の良くない素材でやったら美味しくないということ。やっぱり、いいだし素材でやると全然違います。同じ牛肉でも高級なお肉と安いお肉では全然違いますよね?あれと全く同じことがお出汁の世界にもあります。多少雑に扱ってもビクともしません。


ある程度良い素材さえ揃えられれば、誰でも最高のおだしが引けます。西洋料理のように何時間も何日も煮込む必要がないのが日本のお出汁の一番の特徴。言い換えれば、何年も修行しなくても誰でも五つ星の味が出せるということなんです。

みなさんも一度は本物の本枯節で美味しい一番出汁を引いてみませんか?

最後は宣伝になってしまって恐縮ですが、本サイト「だしと発酵、暮らしとデザイン」では、1回分ごとに開けたての香りが楽しめる削り節と昆布をセットにしたオリジナル商品を通信販売にて発売中です。品質と削り立ての鮮度にこだわりました。

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