以前、マイタケのタンパク質分解酵素を使って鰹節を発酵させて出汁を取るの方法をご紹介しましたが、今回はブナシメジです。
マイタケ、確かに美味しかったのですが、分解酵素が働く60度の温度帯をキープして数時間置いておくというのが、なかなか一般的ではないというのと、マイタケの椎茸臭がかなり強いので、美味しいと思う反面、苦手な人は苦手かもしれないという味わいがありました。
そこで、その後さらに調べていったところ、ブナシメジにもタンパク質を分解する酵素が含まれていて、その酵素が働くのは20~30度ということらしく。お!これならいけるかも。と思いましたので、今回はブナシメジ発酵出汁のトライアルです。
ちなみに、なんでタンパク質を分解したがるかというと、タンパク質がプロテアーゼという分解酵素で分解されると、各種アミノ酸に分離していきます。そのアミノ酸の中に旨み成分が含まれているので、普通に出汁を引く以上に旨みが抽出できるのではないかというトライアルなのです。
まずは昆布とぶなしめじを水に浸します。
そして、水のまま鰹節削り節を投入します。
そのまま放置すること一晩
水に浸しているだけなので、しめじもピンピンしたままです。
翌日、ゆっくり火入れして出汁を抽出していきます。
一煮立ちしたところで上げます。
しめじを取り除くと、ご覧のような感じです。かなり粉々になっています。
おおお。ちなみに、普通に出汁を取ったときの鰹節と比べるとご覧の通り。左がぶなしめじ、右がノーマルです。
明らかに鰹節が分解されているのがわかりますね。また、色もピンク色がなくなり茶色っぽくなっています。これは、おそらく分解酵素によって鰹節そのものが分解されていった証拠です。
よしよし、これはいいぞ。
問題は、味だ。
どうかな。
左がブナシメジ発酵出汁、右が普通の鰹出汁。
どれどれ、テイスティング。
あ、あれ???
普通の鰹出汁の方が、美味しい。。。。。
たしかに、ブナシメジの効果はあるはずなのに、何かが足りない。。
は!
そうか!
香りだ!
ノーマル鰹出汁のほうは、抽出する直前に削って出汁を引きました。
ぶなしめじのほうは、一晩水につけておきました。
ここが差になりました。
確かにたんぱく質が加水分解されてはいるのですが、成分が溶け出せばイコール美味しいかといえば、そうでもないということなのです。
旨みって難しいです。
単純に旨み成分が多ければ「美味しい」とは限らない。
やはり、香りだったり、その他の成分だったり、いろいろな要素の複合体が「美味しさ」に繋がるんですね。また一つ勉強になったトライアルでした。
しかし、ちょっと悔しい。追い鰹するなど、なにか別の手を加えることでもうちょっと美味しくなったりしないかしら。もしくは、煮干しなど水出しでも美味しい素材でトライしてみたらどうかしら、、などなど、まだこのままでは終わらないと心に決めたのでした。
誰にでも簡単で手軽に、しかも美味しい出汁の取り方が完成するまで挑戦は続きます。