急に暑くなりました。
春は短いですね。これから過酷な夏がやってきます。
夏は食欲も減ってくる季節。
そんなとき、出汁は、さっぱりコールドブリュー(水出し)で行きましょう!
かつお節もコールドブリュー
いままで、いろいろな人や本に出汁の取り方を教えてもらってきました。どの人からも、鰹節はお湯で引く、昆布は水からというのを聞いていましたので、そもそも鰹節を水出ししようなんていう発想がありませんでした。
そんな中、友人の出汁マニアのUさんから、聞きなれない情報が入りました。
「足利のとあるお蕎麦屋さんは、鰹節を水出ししている。しかも相当ウマイ。」
な、なにい!?そんなバカな。。。
私は、その情報にずっと半信半疑でした。
鰹節を煮出さないで旨みが出るわけがない、と。
日頃、私は暇があろうがなかろうが、J-Stageという学会誌が閲覧できるサイトを見て日々出汁だの旨みだの発酵だのについての情報を収集しているのですが、最近、鰹節の水出しに関する記事を見つけたのです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1968/14/2/14_139/_pdf
この研究によれば、下記の通りでして
1.官能テストにより20℃水だしは,香はうすいが生くささが感じられず味も淡白で上品な点で煮だしより好まれることが示された.
2.水だしの色は,彩度の低い黄色系で明度が高い.煮だしとの色差はNBS単位(ΔE)9.3~11.6で感覚的の差はmuch(大いに)であった.
3,水だしの香気は,煮だしと比較して揮発成分の質的な差が殆んどなく,各成分のパターンも類似していた.その差は量的なものでHSV組成比の計で薄片状の場合,20℃水だしは煮だしの71~82%,5℃水だしでは50~57%であった.試料形態による差も同様な傾向であったが,粉砕の場合20℃水だしは薄片状煮だしの180.2%,5℃水だしは190.8%,煮だしは272.5%であった.各ピークの数値が薄片状よりも高いものが多く,特にトリメチルアミンを含む2成分に著しい差が認められた.
つまり、簡単にまとめると水出しでもちゃんとおいしく出ているということ。
っていうか、むしろ煮出しより美味って、ほんとかよ!
そんなこと言われたら、黙って指をくわえているわけにはいきません。
いざ、やってみよう
今回は、鰹節20g、昆布10g、乾しいたけ1個を用意
ビニル袋に全部入れて
水を入れてパッキング。そのまま冷蔵庫へ入れました。
今回の抽出時間は
冷蔵庫で24時間、常温で8時間としました。
(研究によると5度の水出しより20度の水出しのほうが美味しいと書いてあったのですが、乾椎茸は5度の方が美味しく出るし、この発酵最前線の時期、常温で丸一日ほったらかしにしているのも雑菌の繁殖が心配ではありましたので、冷蔵庫の時間を多めにした上で常温でほどよくやってみました)
ざるでこしたら、完成。(煮出さないので、なんだか拍子抜け。もう完成かい。こんな楽していいんかい。)
ドーン!
ものすごい透明感です。
見るからにスッキリ。
さすが水出し、余計な雑味や脂分が出ていない感じがします。
お味はいかがでしょう。
シュ!シュ!(←カッピング的な音をたてて飲んでみました)
おおおお!
これはスッキリだ。お上品!
たしかに、ちゃんと出汁が出ている!!!
しかもとってもさっぱりしていて、まろやか。
なるほど、これは食欲のない時や病中病後のいたわりの時期にはとても良いかもしれない!
こんな方法があったなんて、まったく盲点だった!!
ありがとうUさん、J-stage!
せっかくなので、半年寝かせた特製のかえしを混ぜて、めんつゆにして味わってみました。
ズズズズ。
うあ〜〜〜〜。うみゃーでがんすーー。
これは、素麺がススム君〜〜〜。
なるほどね〜〜!
出汁のコールドブリュー。流行るかも♪
p.s.
でも、個人的にはちゃんと丁寧に低温で煮出したパンチのある出汁も好き。
たぶん、ケースバイケースなんだろうなと思います。
選択肢が増えた、ということかもしれません。
もしよろしければ、みなさんも是非!