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【ご存知ですか?】コンビニおにぎりの海苔問題

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普段、なにげなく食べているコンビニのおにぎり。安くて手軽で、助かりますよね。しかし、ぼんやりとパッケージを眺めていますと、ふとあることに気がつきました。

手巻きタイプのおにぎりはパッケージに大きく「有明海産海苔」と書かれています。一方、直巻きのしっとり海苔のおにぎりは、海苔の産地に関してはどこにも書いてありません。気になって他の商品を見てみると、全てが同様です。しかも、ファミリーマートだけでなく、ローソンもセブンイレブンも全てです。直巻きタイプのおにぎりには海苔の産地表示がありません。

むむむむむむむ。

これは、何か匂うぞ。。。大人の事情がきっとあるぞ。子供に言えない事情があるに違いない。

 

実は、平成29年9月に食費表示基準に関してのルールが新しくなり、加工食品に関しても重量比第一位のものは原産地表示が消費庁より義務付けられました。

さらにおにぎりについては、米だけでなく、海苔にも原産地表示が義務付けられました。

ですので、本来であれば、直巻きおにぎりも海苔の産地を記載しなくては食品表示法違反となります。しかし、商品パッケージの切り替えなどを考慮し、2022年3月末まで猶予期間が設けられ、できるところから対応していきましょうということになっています。

しかし、日々新商品が出るコンビニのおにぎりに関して、パッケージの切り替えなんてたいしたことはありません。これは大企業の営利目的の消費者にみえざる何があるのではないかと思い、お客様相談センターに電話で問い合わせました。

ファミリーマート、セブンイレブン、ローソンの全てに同じ問い合わせをしましたところ、ファミリーマートが半日も経たないうちに折り返しの電話がかかってきましたので、その時の会話をお伝えします。

 

「手巻きおにぎりに関しては、パリっとした食感を味わっていただくのに最適な有明海産の海苔を使用していますが、直巻きおにぎりに関しては、しっとりしたコシのある海苔の食感を楽しんでいただけるよう韓国産の海苔を使用しております。

食品表示で海苔の産地表示が義務付けられているのは承知していますが、現在は移行期間ということで、直巻きおにぎりに関しては産地表示は割愛させていただいております。」

 

とのことでした。

 

思った通りでした。

 

つまり、直巻きおにぎりに関しては、外国産の海苔を使っているため、現時点で記載しなくてもお咎めがありません。ですので、あえて記載しないということなのです。

別に韓国産が悪いとは全然思いません。国産だって質の悪いものもたくさんあります。

しかし、日本人の感情として、おにぎりの海苔に韓国産が使われているというのが書かれていたら、残念ながら買うのをためらう人が出てくるのだろうなぁと予想がつきます。盲目的に国産が素晴らしいと思い込んでいる民族ですから。しかもおにぎりなんて日本人のソウルフード。

コンビニ側としては、あえて言わなくてもいいものは言わないという姿勢なのでしょう。

しかし、国産の海苔だって、しっとり直巻きに適した質の海苔もあるはずです。あえて国産にしないのは、コストの問題以外何ものでもないのは火を見るより明らか。1円でも原料費を安くして、利益を出したいという企業の利潤追求の図が浮かび上がってきます。結局、食の安全や安心は二の次で、お咎めなければOKというメーカーの姿勢。やっぱり子供には威張れない。黒い大人たち。

担当者は電話口で「韓国産と言いましても、間に日本の有名な海苔メーカーが入ってしっかりと品質をチェックしておりますので、安全にはまったく問題ございません」と言っていました。

おそらく、それは正しいのかもしれません。であれば、堂々と韓国産と記載するべきです。それをしない時点で、やっぱりなにか企業側の後ろめたさが伝わってくるのです。

 

2022年4月からは表示が完全に義務化されます。

そのときに直巻きおにぎりがどうなっていくか、いまから注目です。

●そのまま韓国産と表示する

●値上げして国産海苔に切りかえる

●おにぎりの大きさを小さくして国産海苔に切り替える

●具の質を落とす

この4つのうちのどれかになると思います。コンビニ各社でそれぞれの対応が気になります。みなさんも、2022年をよく気にしておいてくださいね。いろいろ変わります。

 

ちなみに、裏面の原材料表示ですが、赤線が引いてあるところは食品添加物です。食品表示法では、記載のここから食品添加物ですよとわかるように、添加物の区分けにスラッシュ「/」を記載しないといけないのですが、こちらも猶予期間ということで、コンビニ3社とも現時点では見事に違反中。

いままで、なんとなくうやむやで行けていた表示がどんどん厳しくなってきていて、メーカー側も大変だと思います。しかし、猶予期間いっぱいまでセコく粘るというよりは、率先して新しい基準にのっとって表示して行くという企業の方が実は好感がもてます。この裏面表示も今後継続して観察していきたいと思います。大手3社のうち一番先に表示を切り替えられる企業は賞賛されるべきです。

正直に、嘘偽りなく消費者の求める情報を開示してほしいものです。

ちなみに、このスラッシュ「/」非表示問題に関してもお客様相談センターに聞いたところ

「表示スペースも限られていますので、なかなかまだ対応できていない状況でして・・・」

という苦しい回答。「、」を「/」に変えるだけなので、スペースの問題は全くないのですけどね。。。

このように、ちょっとした記載もよくよく注意してみると、企業側のさまざまな思惑が浮かび上がってきます。

経済、利益、健康、幸せ。

 

清く貧しく生きるか、醜く欲深く生きるか。

 

あなたはどちらを選びますか?

この問題、究極のところは、どう生きていきたいかという生き様の問題なのかもしれません。

一本筋を通して格好良く生きていけるといいですね。

 

ちなみに、ローソンとセブンイレブンからは折り返しの連絡はまだ来ていませんので、残り2社のこともわかりましたら、続報はまた記事にしたいと思います。

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