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発酵を考える

改めて発酵を考えてみる

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最近、巷はどこもかしこも、「発酵」ブーム。

やたらといろんな商品に「発酵」という文字を見かけるようになりました。

でも、発酵なんて有史以前からある現象ですから新しいものでもないのですが、誰かが仕掛けているのでしょうか。どうも目につきます。

ほとんどの人は「ナントカ菌みたいのが体に良いんじゃないかしら」くらいにしか思っていないと思いますが、

あらためて「発酵」とはなんぞやということを考えてみたいと思います。

 

そもそも「発酵」という言葉ができて、学問として基礎が確立してからは実はまだ100年ちょっと。それまでは、理由はよくわからないけれど、ぶどうを絞って放っておくといつの間にかシュワシュワしてアルコールが出来るとか経験的に有益な現象を自分たちの生活に取り入れてきていました。

学問として解明されていくと「発酵とは微生物の嫌気的条件下での生命活動」だとか「微生物によって作られた酵素という化学物質が起こす触媒反応」とか定義づけられましたが、実はもっともっと広範囲に及ぶんではないかということでいまでは「微生物のもっている機能を広く物質生産に応用して、人にとって有益なものに利用することを広義的に発酵と呼ぶ」ということになっています。

 

といわれてもチンプンカンプンかと思いますが、要するに、ナントカ菌とかいう目に見えない菌たちが作り出すいろんな効果のうち、人間にとって良い役割をする現象が発酵。

人にとっていい役割ってなんだろうっていうと、実はいくつかあって

●保存性がよくなる

●栄養価が高くなる

●消化吸収しやすくなる

●おいしくなる

●腸内環境に良い

みたいなことがあるんです。

だから、「生きたまま腸に届く」みたいなのだけが発酵のメリットではなくって、いろんなメリットがあったりするんです。(っていうか、生きたまま腸に届くと何がいいんだかさえ分かってないですよね??実は生きてなくても腸にとって良いこともたくさんあったりします。)

 

では、なぜ発酵という現象でそんな良いことが起こるのかというと、

実はナントカ菌は人間様のためにわざわざそんなことをしてくれているわけではなく、彼らは彼らで生命活動をしているだけだったりします。

彼らのいう生命活動というのは、有機物を分解すること。

分解することで土に返して無機物にしていきますが、その途中過程で、ちょっと美味しくなっちゃったり、吸収がよくなったりということがあるんです。細胞は分解されることで、その中にあった物質がアミノ酸になって旨味になったり、あるいは、分解されることで本来人間の体内で行う消化活動を1段階進めてくれるため、消化にかかる負担が減るとか、そういうことです。

でも、それって要するに腐るという現象とおんなじことで、それが人間にとって良くないものだと「腐る」とか「腐敗」とか表現されて、良いものだと「発酵」と呼んでいるだけだったりします。

 

で、日本では特に昔から発酵食品が各地で作られてきましたが、これは湿気が多くて腐りやすかったり、四季があるから食物が取れる時期と取れない時期があったりするので、発酵の力を借りることで保存性を高めた、という生きるために編み出した知恵だったりします。

そんなわけで、味噌も醤油も漬物もみんな発酵食品。何気なく口にしているものは結構たくさん発酵食品だったりします。

なんならお酒もアルコール発酵した飲料ですし、お酢も酢酸発酵した液体です。日本人なら毎日の食事で発酵したものは何かしら食べているんじゃないかしら、とも思います。

だから、あらためて「発酵」をありがたがって崇め奉るというのは、どうしちゃったんだろうという感じでもあるのです。むしろ、当たり前に生活の中にあるものだったりするのです。

もちろん、消化吸収に良いという機能をうまく使うことで、赤ちゃんや老人の食事にうまく取り入れることで栄養価をアップさせるなど使いどころはさまざまあるのですが、単なるブームとして、いままで当たり前に食べてきていたものを、ちょっと形を変えてアレンジさせたりして、「なんだか健康に良さそう」みたいな流れで行くのは、ちょっと違うんじゃないかなー、なんて思っちゃうのです。

日本人なら、味噌汁飲んで、糠漬け食べて、納豆食べておけば、ナントカ乳酸菌みたいな飲料なんて飲まなくても大丈夫なんじゃないかしら、と思ったりしちゃいます。(ま、塩分の摂りすぎみたいなことはあるかもしれませんが)

とブツブツ書いてしまいましたが、何が言いたいかといいますと、

私としては「Return to Basic」というキーワードを大事にしていきたいなあと思っていまして、奇を衒わずに粛々といきていく毎日を広めていきたいのです。

そこに、発酵という現象も日本人の生活に寄り添っているので、それを当たり前に使いこなしていきたいなということなのです。 

 

地に足がついた発酵ライフを過ごし、

その線路の延長線上にこそ、新しい何かがあるんじゃないかと思っています。




-発酵を考える

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