おからを使ってお味噌を仕込む。
なるほど、世の中にはいろいろなことを考える人がいるものだ。
今回は、だしソムリエ仲間であり、豆腐マイスター、みそソムリエ、野菜ソムリエ、おから再活プロデューサー、世界の食卓研究家といった多彩な肩書きをもつ太田美和先生のワークショップに参加させていただきました。太田先生はとっても明るくパワフルでキュートでお茶目。元気をたくさんいただきます。
場所は調布から歩いて20分くらいの閑静な住宅街にあるおしゃれなマンションのキッチン付きイベントスペース。なんだかとっても素敵。
私は、味噌を仕込むのは今年で3回目になりました。もう今年は味噌は良いかななんて思っていましたが、「おからで味噌だって???」という好奇心に勝てず、ついつい申し込んでしまいました。はたしてどんな味噌に仕上がるでしょうか。
材料は、味噌作りそのもの
今回、おから味噌の各素材の配合の分量は企業秘密ということで非公開でしたが、材料そのものは下記になります。
米麹、おから、豆乳、塩
ふーん、おからと豆乳かあ。。
あれ?それって、、、よく考えたら、大豆成分そのものでは。。。
家で豆腐を作ると大量におからが発生するので、その処理に困っていましたが、そこに豆乳があれば、おからは味噌にすることができるということだ。んー。。。えーと、えーと、豆乳を作るには、大豆を茹でて絞るわけだから、そうすると、またおからが発生して、そうするとまた豆乳が必要になって。またおからが発生して。。うーん、A社で借りた借金を返すのにB社で借りて、それを返すのにC社で借りて、という無限ループなような気もしますが、、、うん、きっとおからと豆乳とで分量のバランスが違うんだろう。たくさんのおからとちょっとの豆乳で良いとか、そういうことに違いない。そこらへんはレシピ非公開なのでわかりませんので、あんまり深く突っ込むのはやめておきます。
いずれにしても、配分はさておき、味噌作りで一番大変(面倒臭い)なのが、大豆を茹でたあとに、細かく潰す作業。しかも、ツブツブが残った大豆が味噌汁に残っていると、意外と最近のワカイモンには嫌われてしまったりします。
その点、このおから味噌は、もともと大豆はおからという最小単位のフレークになっているわけで、味噌は仕込んだ当初からクリーミーですから、これは口当たりも良くなるので、味噌汁が嫌いというまさかの非国民にも受け入れられそうな気がします。ダメな醤油の原料の脱脂加工大豆でもないわけですから、大豆の栄養は全部そのまま生かされていますしね。
だから、近所に個人経営のお豆腐屋さんがあれば、たいてい良質のおからと豆乳は売っていますから、ある日突然「むむむ!今日は味噌を作りたい!」って思ったらすぐに作れる、というのはかなりのメリットです。普通にやると一晩水につけるところから始まりますから、ビビビって来ても、最低2日はかかります。
実際、出来上がったおから味噌を試食させていただきましたが、とても口当たりが良く、しっかり本物の味噌になっていました。
うーん、ボナペティ。
では、先生の指示に従って仕込んでいきましょう。
まずは米麹。今回はとっておきの生麹を仕入れたとのことで、開けるとふわっと甘い良い香りがします。ちょっとつまんで食べると、いいお味。黙ってるといつまでも食べてしまいそうです
今回はうちの娘も一緒に参加しましたので、私は自分の作業をしつつ、写真を撮りました。
うん、子どもの手は綺麗で、写真の被写体には良いなぁ
米麹は、よくよくほぐしてバラバラにします。ここでダマが残っていると味噌になるときにムラになってしまうので、丁寧にやりましょう。
そして、ポイントは、水洗いした素手で作業すること。
これをすることで、手についている常在菌がついて、仕込んだ人それぞれの違う味の味噌が出来上がるということ。不思議なものですが、同じ材料と分量で仕込んでも出来上がると味が違ったりするんですよね。やはり目に見えない菌の活動がそれぞれの発酵の仕方をしているのかもしれません。いまでこそ、いろいろ科学的に解明されてきましたが、昔はさぞ不思議だったことでしょう。目に見えない発酵は無の状態から何かが沸き立ってくるとさえ考えられていました。だから、「醸す」という行為はちょっと神秘的でスピリチュアルなものでもありました。お酒なんてその最たるものです。一方で発酵を止める塩も神聖なものだったりして、お清めにも塩がつかわれるのはそういうことだったり、、、と話しがどんどん逸れていきそうなので戻ります。
米麹をよくほぐしたら、塩を入れて、またよくよく混ぜます。
次におからを入れて、
豆乳を入れて、よく混ぜ込みます。
豆乳を入れると一気にどろんこ遊び状態になります。
あはは、楽しい。この感覚。大人になってからこういう感覚ってなかなか日頃は出会わないなあ。うふふふ。
ネチョネチョネチョネチョ。
と童心に帰りながら、お団子をを作っていきます。
ちなみに、この豆乳は、西調布の三上豆腐店の豆乳。これが濃厚で美味しい。このままでもゴクゴクいただけます。今回は三上豆腐店のおかみさんも主催者側でヘルプしていらっしゃいました。ああ、お店に行ってみたい。
お豆腐屋さんの豆乳や手作り豆腐って本当に美味しいんですよね。もっとお豆腐屋さんは評価されるべきです。スーパーの98円の豆腐なんて買ってちゃいけません。
さて、よく混ぜたあとは、空気を抜くようにしておだんごを作っていきます。
こんな感じ。
次に、容器に空気が入らないようにギューギューっと押し込んでいきます。今回は厚手のジップ付きのビニル袋でした。なるほど、これは便利ですね。
味噌は仕込んだ後は基本放置プレイなので、楽チンです。最初の段階で空気を抜くのが一番大事。麹による発酵、その後の酵母の働き、乳酸菌など、嫌気的条件下でよく働きます。また、空気が入ると雑菌が繁殖しやすくなります。とにかくぎゅうぎゅうっと空気を抜くことに命をかけます。
最後に一番上に塩をまぶして、止め塩をして空気を抜いて封をして完成です。
止め塩は空気の接点面に塩をすることで雑菌の繁殖を抑制します。
これで、あとは冷暗所で約半年寝かせれば完成です。
今回含めて仕込んだ我が家の手前味噌たち。この秋冬にはそれぞれの味に仕上がっていることでしょう。どんな味噌が出来上がるか、楽しみです。
それにしても、ワークショップでみんなでワイワイ作業するのって楽しいです。初めて会う人たちでも、同じ目的に向かって作業すると、自然と会話も生まれます。こういう場があるというのは大事なことです。
パック詰めが終わると、最後にそれぞれにマジックで自由に落書きしていきます。それが良かったです。もうすでにこの時点から十人十色の味噌が仕込まれた感じがしました。
また実際参加者を眺めているとなかなか男性の比率は少ないのですが、いろんな発見や気づきもあるし、やっぱりモノではなくコトが今の時代には良いみたい。
世のお父さん方ももっとこういうところに来ると良いと思います。
元気で明るい太田先生。
お味噌を使った軽食も出ました。
さすがだしソムリエ認定講師だけあって、味噌汁が超絶美味しい〜〜〜。
食の幸せって、A5ランクのステーキだけじゃないんだよなって、つくづく思います。毎日の飾らない食事が美味しいっていうのが一番大事だと思うのです。
手前味噌はその毎日の幸せに必ず一役買うことになるはずです。
まだ味噌作りやったことない方、来年は一緒につくりましょうね!
太田先生は、豆遊塾という大豆の活動もされていますので、もしおから味噌に興味ある方は下記まで。