みなさんは重ね煮というものをご存知ですか?
私はつい最近まで知らなかったのですが、先日ご縁がありまして、重ね煮のレッスンを受けてきました。
重ね煮は、書いて字のごとく、野菜を鍋の中に重ねて煮ていく調理法なのですが、美味しく、消化吸収もよく、いろんな料理にアレンジできる、という三拍子そろった魔法の調理法。かなりすごいのです。
重ね煮ストとの出会い
事の始まりは、南麻布のコーヒースタンドNtS Coffeeで出汁カレーのイベントをやらせてもらった時に遡ります。ちょうどお客さんとしていらしてくれた近所に住む女性(安井さん)が声をかけてくれました。その日、私は「UMAMIST」と名乗ってカレーを振舞っていましたが、その女性は「私は重ね煮ストです。」とおっしゃいました。
「か、かさねニスト。。。??????????」
私はアタマの中にはてなマークがたくさん。な、なんだ?重ね煮ストって。。。そんな肩書き初めて聞くぞ。
イベントが終わった後も、なんとなく気になってWEBで調べてみたところ、結構情報出てきました。おお、そうなのか。知らなかっただけで、そういうジャンルがあるのか。。んで、重ねて煮ると何が良いんだろか。。。とりあえず、やってみるか。
知らないことは、やってみないと気が済まない性格なので、見よう見まねで、野菜を買ってきて、切って鍋に重ねていきました。えーと、何なに?野菜には陰と陽があってその順番にそって重ねていく?んー。。。なんだろう。。ちょっとスピリチュアル系?
まあ、もともと、和食にも、陰陽五行説という考え方がありますし、そういうことなのかな?よくわかんないや。
でも、見よう見まねでやってみた重ね煮。これがけっこう美味しくできたのです。材料は野菜だけなのに味が濃厚。いわゆる野菜出汁がバランスよく濃縮されたような感じで、これだけで完成した旨みと甘みがあり、昆布や肉、魚など出汁が要らない感じ。むしろ、いままで自分で作っていた野菜出汁よりも濃厚な味わいがしました。
むむむ、、これは、面白いかもしれん。
幸い、重ね煮スト、安井さんはコーヒースタンドの常連ですから、結構な頻度でお会いします。安井さんは重ね煮の教室もやっていらっしゃるとのことでしたので、せっかくなのでレッスンを受けてみることにしました。
食材に対する感謝と思いやり
教室に来て驚いたのは、野菜は持ち寄り。しかも何でも良い。それぞれが持ち寄ったもので、一期一会の重ね煮を作ります。
そして、ひとつひとつの野菜を丁寧に丁寧に切っていき、食材を重ねていきます。
黙々と刻む時間は、なんだかメディテーション時間のようでもありました。そして、野菜はどういう風に切ると自然に切れるか、いかに食材のロスを減らして無駄にせず全てを鍋に入れて全部をいただくか、ということを教えてくれました。たしかに、ゴミがほとんど出ていない。
また、「陰陽」に関しては、いろいろ細かく説明をしだすと長くなるので、さっといきますが、要するに土の中に生えている野菜は、下へ下への伸びるベクトルがあり、体を温める食材で、土の上に伸びる野菜は上へ上へと伸びるビクトルがあり、体を冷やす食材。だから、鍋の中では、土の上の野菜を下に入れ、土の下に居る野菜を上に重ねていくことでそれぞれのベクトルが鍋の中で上下が交わり中庸なバランスを整えていくということなんだそうです。
たしかに体の不調というのは、バランスが崩れたときにおきますから、鍋の中から食材でバランスをとっていき、それをいただくというのは、なんだかとっても正しいような気がします。
ロジカルにも、水分が多い食材を下に入れて、硬い根菜類を上に乗せれば、蒸気で蒸されて柔らかくなりますので、調理法としても正しいと思います。結局、一つの鍋で、硬い根菜から柔らかい青物野菜たちが一度に火が通ってしまうので、コツは一切不要。失敗も無し。約40分間超弱火で温めれば完成。水も酒も要らない、野菜の水分だけで蒸し煮にされた煮物が完成するわけです。これは簡単。
時短極める食材に変身
で、この完成した重ね煮、これで終わりではなく、むしろ、ここから始まりました。実はこの重ね煮、これを使ってさまざまな料理に使っていけるというのがポイントなのです。もちろん、そのまま食べたっていいのですが、この重ね煮を具や出汁につかっていけるということなのです。しかも、すでに火が通っている状態ですから、調理にかかる時間は恐ろしく短く完成します。本当に仕上げ作業しているだけという印象でどんどん出来上がっていきます。クックドゥ使っているみたいな感じといえば伝わりますでしょうか。
つまり、一度重ね煮を作ってしまってストックしておけば、日々の料理はラクチン。時短の極みなのです。これは、時間に追われる子育て中の主婦や、介護をしている方など多くの人に便利です。むしろそういう人に使って欲しい。しかも、一切添加物が入っていない野菜だけのものですから、健康そのもの。
すごいじゃないか。
ちなみに、この日は、クロックムッシュ、ポテトサラダ。ジェノベーゼ風そうめんカッペリーニ、ラタトゥイユ、椎茸の重ね煮乗せ焼き、きんぴらなどが、あっという間に出来上がりました。全てに重ね煮が入っているのですが、どれもそれぞれの料理を引き立てるベースとなっており、その存在に気づかないくらいですが、いるといないとでは大違い、いい仕事をしていました。びっくりするほど美味しかったです。
ちなみに、料理のレパートリーはこんなものではないらしく、中華からエスニック、和食から洋食まで何にでも変身できるそう。
自分一人でやっていると世界が狭くなりがちですが、こうやって人から教えてもらうと、いろいろな発見がありそう。
もう少し、重ね煮、掘り下げてみようと思います。
みなさんも、ちょっとやってみるのをお勧めします。これは良いです。