だしと発酵、暮らしとデザイン

丁寧で本物の日本の次世代の食生活を提案する、ライフスタイルWEBマガジン

だしについて

煮干しで作る八方白だし

投稿日:

最近は、白だしをよくスーパーで見かけるようになりました。確かに、料理に万能につかえて、茶色い色もつかないので、料理の見た目の邪魔をせずに旨味を足すことができるので、なかなか便利ではあります。私も時間がないときは結構お世話になっています。でも、裏面を見ると、結構な割合で、たん白加水分解物やアミノ酸という名の化学調味料、酵母エキスなどが入っているので、人工的に作られた旨味で、味覚によくありません。

じゃあ、自分で作りましょう。とはいえ、普通に作っても面白くない。ということで、今回は、煮干しを白だしを作ってみようと思います。

(まあ、たまたま新鮮な上物の煮干しを仕入れたばかりで、早めに使いたかったという在庫の理由もありました。煮干しってけっこう足が速いんですよ。酸化するのが早いんです。)

 

まず、煮干しは煮出すと魚の臭みが出てしまいますので、白だしには不向きと思いましたので、一晩昆布と一緒にじっくり水出ししました。

こうすることで、余計な臭みがでずに、うまみだけが抽出されます。

750ccの水に対して、50gの煮干しと20gの真昆布を使いました。けっこう贅沢な量です。

すでに美味しそう。

こちらをさらしで漉します。

水出しでもご覧のように琥珀色の透き通った出汁が取れます。

塩分濃度を測ってみると、0.54%の塩分です。煮干しには塩分がありますから、この時点でけっこう味がついています。

というか、このままスープとしても飲めるくらい完成しています。

ちなみに、煮干しは水出ししただけですと、雑菌がかなりいますので、日持ちしません。一度煮沸はマストになります。

そして、煮きった味醂と酒を150cc入れます。調味料なのでちょっと甘めくらいがちょうどいいです。

薄口醤油を大さじ2。これは醤油の香り付けで、あまり入れると醤油臭くなってしまうので、薄口醤油が良いです。

あとは濃度を測りながら、塩を加えていけば完成。

けっこう塩っぱいぞ、というところまで塩を入れたところで測ったら、ピッタリ3%。海水と同じ塩分になりました。なるほど、煮干しの故郷に帰ったわけだ。よし、これで良い。完成だ。

 

ちなみに、市販の白だしの塩分濃度を測ってみますと

けっこう高い、5.8%。

うーん。これは、料理のための塩分というよりは、日持ちさせるための塩分なのではないかと思います。

今回自分が作った白だしと、この市販の白だしの原液を飲み比べましたが、味覚上では、塩っぱさは同じくらいでした。市販の白だしのほうが甘さと、化学調味料の味がして、たぶんそれに塩分がごまかされているような気がしました。これは健康のためにも、自作の白だしのほうが良さそうです。

 

 

瓶につめると、ちょっとした高級な白だしになりました。ラベルを貼れば、ちょっとした売り物になりそう。

 

で、一番大事な味わいですが、これがイケる!イケル!

水出ししたのが正解だったのか、煮干し臭さはなく、旨味だけが凝縮された液体となりました。

たぶん、お浸しや煮物、炒め物、なんにでも使える万能調味料です。

しかも、市販のよくある白だしともちょっと違う、独特の旨味。うむうむ。これは良いものが出来た、誰かにお裾分けしたいなあ。しかし、添加物が一切はいっていないですから、おそらく冷蔵庫で1〜2週間が限度。じゃんじゃん家で使っていくしかないかも。

 

次は、ひねくれないで、かつお節で白だし作ろうかな。。

 

 

-だしについて

執筆者:

関連記事

【MOTTAINAI】出汁ガラだって食材にしたい 3

久しぶりの「もったいない」シリーズ。 出汁を取った後の出汁ガラを捨てずに、ちゃんと食材として活用して美味しく食べてしまおうというレシピ企画です。 本日は、エソの煮干しの出汁ガラです。 先日、サンプルで …

味の素に聞いてみた。

本物を極める出汁野郎にとっては、「味の素」っていうやつは、まがいもので健康に悪くて味覚音痴になる、というケチョンケチョンの言われっぷりで目の敵にされています。 たしかに、本物の出汁と、ほんだしをお湯に …

だしソムリエ検定講座2級のお手伝い

こんにちは。 この週末はご縁がありまして、だしソムリエ協会が主催する講座のお手伝いをさせていただきました。 裏方として受講生のみなさんにテイスティング用のだしを配膳したり、次の授業で使うだしを取ったり …

生まれと育ちで味も変わる、原木しいたけの面白さ

ここ最近、訳あって日本産・原木乾しいたけに毎日のように向き合っております。そんななか、ご縁があってしいたけの菌種、あるいは、どういった木で育ったかによって味わいが違うというお話をいただき、サンプルをお …

かつお節を学んだ1日

日本カツオ学会というのがありまして、東京越中島の海洋大学で集まりがありました。「かつお節の食品的・文化的価値を考える」というテーマで様々な方が登壇してお話してくれるようです。参加無料ということもあり思 …

だしと発酵、暮らしに関するヒントをデザインの視点を交えてお届けします。

2024年7月
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031