今日は食品表示法における生鮮食品と加工食品の違いについてご紹介します。
生鮮食品とは書いて字のごとく、生で新鮮なもの。つまり野菜とか肉とか魚とか採れたそのもの。一方、加工食品とはなんらかの人の手によって加工をされた食品です。
まあ、なんていうことはないと思いますよね。
しかし、たとえば、キャベツを半分に切ったら、それは生鮮食品でしょうか、加工食品でしょうか? そして、さらに細かく食べやすいサイズに切られたカットキャベツは生鮮食品でしょうか加工食品でしょうか。さらにさらに、千切りキャベツまで細かく切ったらそれは生鮮食品でしょうか、加工食品でしょうか。
こうなってくるとなんだかややこしい感じがしてきます。
なんとなく半分カットくらいまでは生鮮食品っぽいけど、袋詰めにされたカットキャベツになると加工食品っぽい感じがしてきます。どうでしょうか。
しかしながら、今回の例で言えば、実は食品表示法的には、すべて生鮮食品になります。
えー。そうなんだー。
どういうことかといいますと、生のキャベツをカットしてもキャベツという存在はキャベツのままで物質や成分が変わることはありません。なので、単にカットするだけなら生鮮食品のままということになります。
しかし、もし仮に、キャベツを蒸したとすると、それは加工食品になります。なぜなら、蒸すという行為によって生のキャベツは火が通って別のもに変わってしまったから、もはや生鮮食品にはなりません。
あるいは、塩をふって味付けしたとしたら、それももはや加工食品となります。
うーんなるほど。わかるようなわからないような。
では、次に、カットキャベツにもやしと人参と玉ねぎが入った、野菜炒めミックスはどうでしょう。特に味付けや蒸したりといった加工はされていないものとします。
これ、実は、加工食品になります。
どういうことかというと、「同種混合」と「異種混合」とで生鮮と加工の区別がつけられていまして、同じキャベツという種類をまぜるだけでしたら同種混合となり、生鮮食品。一方でもやしや人参といった別の種がはいってくると、「異種混合」となりそれは加工食品になります。
お刺身を例にしますと、マグロの刺身は生鮮食品。いろいろな魚の刺身盛り合わせは加工食品になるのです。
なるほど、面白いですね。
とにかく、同じ種類で味付けや火入れ乾燥などされていないものは生鮮食品になると覚えておくと良いでしょう。
では、生鮮食品と加工食品では消費者にとって何が変わるかといいますと、裏面の表示内容が変わります。
生鮮食品は、野菜であれば原産地名の表示が必要になります。しかし加工食品になると改正前の旧法では国産か外国産の表示だけすれば、県名の産地表示は不要でした。つまり、野菜炒めミックスになった瞬間に、その野菜の産地がよくわからないものになってしまうというオソロシイ状況になっているのです。
その後、平成29年の改正により、重量比第3位までの食材に関しては県産地の表示まで義務付けられるようになりました。なのである程度消費者にとってわかりやすくなってきているのは喜ばしいかぎりです。ただし、重量比第3位までが表示義務があり、それ以下のものにかんしては省略可能ではあります。つまり、4品目以降の食材に関しての原産地はわからないということになります。
(もちろん、任意で記載する分にはいっこうに構いませんので、良識あるメーカーでしたら、ちゃんと表示してあります)
で、まだ改正されて日が浅いこともあり、猶予措置としてまだこの先数年までは旧法の表示も大丈夫ということになっているため、商品によっては表示がちゃんとされていないというものも、よく見ると見受けられます。
なので、食品表示に関しては、まだまだ実は発展途上段階。いろいろ知りたい消費者にむけて、ますますメーカーの透明性がもとめられるようになってきているのです。
いかがでしたでしょうか。たかが生鮮食品と加工食品の分類。
でも実はそこには表示ルールの差があるために消費者が得られる情報に差があるということなのです。このあたり、いろいろ勉強していくと結構いろいろな発見があって面白いですよ。