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いざ、手火山式かつお節(田子節)

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今日は、手火山式かつお節について。

 

まず最初に宣言します。この手火山式に関してはまだまだ知識や味わいの経験が浅いので、今回はあまり偉そうなことは言えません。つっこみどころが満載かもしれませんが、ご容赦ください。

 

先日、伊豆の田子地区の手火山式かつお節屋、カネサ鰹節商店さんにいくことができました。このカネサさんは、手火山式と言えばココ!というくらいの有名なお店で、昔ながらの製法で手作りしているところです。

 

この手火山式ですが、枕崎のかつお節と何が違うかというと、焙乾(煙で燻す工程)の設備が大きく違っていまして、枕崎のほうは、地下に薪を炊く部屋があり、地上2階建の大きな燻す設備がありますが、それに対して、この手火山式は、小さなお風呂くらいのサイズの設備で、手で熱を測りながら火を調整して燻していくという昔ながらの作り方です。手で火を測るので手火山式なんだそうです。熱そう〜〜。

こんな設備で燻します。

すぐ下が火なので、かなり高温で燻すことになります。

ちなみに、煮熟(煮てタンパク質を凝固させる工程)の設備も五右衛門風呂のような形で現代的な工場らしさが全くなく、昔ながらの感じがビシビシ伝わってきます。

(なお、この日は、お店のご主人が出張でいらっしゃらなかったのですが、伊豆のお友達の土屋さんが裏で口を聞いてくださり、中を見せていただけました!ありがとうございます。)

この日はそんなわけで、ガランとした工場を勝手に見せていただいたわけですが、古いのにちゃんと整理整頓されていて、清潔感があるというのが印象的でした。やはり、きちんと手仕事をしている所の仕事場というのは古くても整っているんだよなあと思ったのでした。

包丁もずいぶんとたくさん色々な形があります。

ここ、カネサさんでは、かつお節だけでなく、「潮かつお」というかつお節よりも歴史が古いと言われる、昔ながらの鰹の塩漬けも作っています。だから、それぞれにあわせて包丁が違うのかなと思ったりしました。(←勝手な想像)

 

工場に併設されたお店では、さまざまな商品が購入できます。


なかなか西伊豆まで来る機会もありませんから、ついつい大人買い。(今度のワークショップでもいろいろお披露目しますよ。)

ちなみに、この手火山式のかつお節を作っているところは、この田子地区では数軒を残すのみだそうで、その中でもこのカネサさんはとても有名なお店です。いつかご主人とお話ししてみたいものです。

せっかくなので、田子漁港にも足を伸ばしてみました。

軒先で網のメンテナンスをしていた日に焼けた漁師のおっちゃんに話しを聞いてみました。

「ここら辺は、かつおは巻き網漁ですか?一本釣りもやってますか?」

「あ? 一本釣りは最近はないよ。あんた、誰?」

「そ、そうですか。。。いえ、観光の者です。。(汗) ちなみに、田子はかつお節屋さんはカネサさんの他にどこがありますか?」

「あー?かつお節? あー、そういえばここら辺で作ってたかなあー。でもよくわかんね。俺、かつお節なんて使わないからさ。酒飲む?」

「い、いえ大丈夫です。ありがとうございます。失礼しました。」

とのことで、聞いた人がいけなかったのか、あるいは、田子の人にとってはあまり関心のあることではなかったのか、かつお節に関しての話はあまり聞けませんでした。残念。

 

で、気になるのは出汁の味わいです。

どんな特徴があって、どんな味わいなのでしょう。

さっそく自宅に帰って試しました。

まずは削ってみます。

おおお、色が違います。

いつも使っている枕崎のかつお節に比べると、ちょっと茶色っぽいというか、黄土色っぽいというか、強い煙が芯まで入っているような感じがします。

違いが分かりますか?

このまま、口に含んでみますと、

なるほど、確かに、燻製の香りが強い気がします。

一方で、本枯節特有の芳香は控えめで、旨みはボチボチといった印象。

うまく説明が難しいのですが、確かに違います。

削った面、中まで燻された感じです。

で、出汁を引きました。

今回羅臼昆布で出汁を掛け合わせたため、ちょっと茶色が強くなってしまいましたが、それを差し引いても、色は濃い目に出るような印象がありました。脂は少なく、澄んだ出汁が取れました。

お味はいかがでしょう。

ずずずー。

ほほう。なるほど。

なんといいますか、「昔ながらの製法による出汁」というのが味にも言える、と言えばいいのでしょうか。素朴で鰹らしい味わいがしました。うんうん。

 

難しいのですが、出汁になにを求めるかによって、良い悪いは、その都度違うモノサシになります。単純な点数の評価はできないんですよね。。コーヒーでキリマンジャロとモカはどちらが美味しいかと問うのと同じこと。完全に好みの問題であり、ジャンルであります。

そして、同時に本枯のかつお節でも製法によってここまで味わいも違うんだなあと思うと、つくづく面白いなあと思うのでした。

うーん、楽しい。

かつお節は、他にもいろいろな地域で作られています。もっといろいろと試してみたくなりました。

というのが、今回の締めかもしれません。

いつか日本中のラインナップを揃えて、味わい地図を描けると良いなと思いました。

つづく


-だしについて

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