だしについて

なぜ関西は昆布の文化なの?

投稿日:2018年4月20日 更新日:

西の昆布、東の鰹節

東西の食文化の違いはさまざまありますが、だしに関していえば、西の昆布、東の鰹節と言われるほどベースが異なります。(もちろん、関東も関西も鰹と昆布をあわせてより奥行きのあるだしを取りますが)

わかりやすいのが、うどんのだし。関西は薄く透き通った淡い昆布だしで、関東は鰹が効いた濃いだしだったりします。

これはその土地の人の味の好みがそうだったからなのか、調べていくと、どうもそういうわけでもなさそうでした。

ルーツは江戸時代の物流にあり

またしても話は江戸時代にタイムスリップします。

この時代、都市には人口が増え、物流が発達した時代でもあります。

当時北海道で採れた豊富な海産物が船で運ばれました。「北前船」とよばれる船でたくさんの海産物を積んで江戸や大阪に物資を運びました。

この北前船なのですが、日本海を回る西ルート、太平洋側をまわる東ルートがあったのですが、

東ルートは黒潮の影響で、潮の流れに反して進まなくてはいけないため、エンジンのない当時の船では、航行が大変だったようで、

おのずと西ルートが主要なルートとなったそうです。

西ルートでは、日本海側の街を寄港し、物品のやりとりをしながら山口をまわって瀬戸内海に入り、最後大阪へと向かいました。

つまり、北海道の品は、江戸に届けるよりも大阪に届けるほうがルート的に楽だったのです。

しかし、理由はそれだけではありません。長い航海の中で寄港地で貿易を重ねて行く中で

敦賀でおろされた昆布は、寒い冬を敦賀の昆布問屋の蔵で熟成されました。

そうすることで、昆布は磯臭さが抜け、よりコクの深い昆布となりました。

昆布が採れない富山県ですが、いまでもいまでも日本一の消費量を誇るのは

そういった地理的要因があったのです。

その昆布は陸路で京都に運ばれました。江戸に運ぶには遠すぎたのです。

いまでも京都の料亭は敦賀の昆布問屋に何年も先まで一番美味しい昆布を押さえているそうで、蔵の昆布には有名な料亭の札がずらりとかけられているそうです。

川の長さが、昆布とかつおのだしに影響!?

さて、そういった歴史的背景はありましたが、鰹節は土佐や薩摩でたくさん作られますので、

関西だって鰹節文化がメインになったっていいじゃないか、と思われるかもしれませんが、なんと流れる川の長さが影響しているそうなのです。

一般的に河川は、水源から河口までの距離が長ければ長いほど、水の硬度が高くなると言われています。

なぜなら、長く流れることにより、水はより長い間、石や砂利に触れるので、硬度が増すというのです。

硬度が増すと、昆布のだしはうまみがあまり出なくなり、鰹節はよく出るようになります。

そうなのです。京都の鴨川しかり、大阪の淀川しかり、関西の都市を流れる川は距離が短いのです。

だから、関西の水は軟水なので、昆布のだしが良くでるのです。

一方、江戸は長い長い利根川水系で、こちらは硬水になります。

だから、かつおだしが良く出るのです。

そりゃ、よりうまみがたくさん出るほうが美味しいからいいですよね。

(※硬水といっても外国の硬水にくらべると日本は全般的に硬度は低く、利根川水系でも世界的にみれば、軟水の部類には入ります。関西の河川と比べたときの相対的な比較となります。)

採れる魚の種類も影響!?

関西は主に瀬戸内海で採れるタイなどの白身の魚が主流です。

関東は親潮にのってくる外洋の赤身の魚が主流です。

白身は淡白な味わいですので、鰹節のようにパンチが強いだしをメインに使ってしまうと

だしのほうが勝ってしまい、素材の風味を損ねてしまいます。

そこで、昆布のだしをメインに使った方が食材の風味を生かすことができたのです。

こうしてみてくると、西が昆布、東が鰹節となっていったのは、もはや必然しか感じませんね。

どちらが良い悪いという話でもなく、どちらも、その土地で一番おいしく味わう手段を選んだ結果が

必然的にその土地のだしの文化になっていったのですね。

-だしについて

執筆者:

関連記事

【美味しいよ!】昆布嫌い撲滅計画 〜その5

ちょいと久しぶりの記事更新です。 昆布が嫌いな人でも、美味しく昆布を食べられるアイデアを考えるレシピシリーズ第五弾。 今回は昆布の出汁ガラを使います。 以前にも何度も書きましたが、栄養は、出汁ガラにこ …

枕崎、酔いどれ1泊2日弾丸ツアー

先日、だしソムリエSytle主催の鹿児島県枕崎の鰹節製造現場視察ツアーに参加してきました。 平日の開催ながらも、全国からだしソムリエたちが約30名集結し、短い間ながら濃いひとときを共に過ごしました。 …

【美味しいよ!】昆布嫌い撲滅計画 〜その2

昆布が嫌いな人のために、昆布が美味しく食べられるレシピをご紹介する第二弾。 今回は、カレー粉炒めです。   沖縄料理にクーブイリチーという、切り昆布をさつま揚げや豚肉、野菜と炒めた料理がある …

いざ!築地のかつお節屋さんに疑問をぶつけてみた

写真:だしソムリエ2級講座のときの写真(自分で撮影) はい!今日の記事は、かつお節の姿節(※)について築地に行って来たときのことを書きます。 (※姿節:削る前の状態の節。姿そのままだから姿節といいます …

クズ野菜を干したら、出汁素材に大変身!

人参や大根の皮ってありますよね。あれ栄養価は高いというのはわかるのですが、きんぴらにして食べるとかそういうのも、なんとなく貧乏臭い感じもしますし、毎日きんぴらばかり食べるのも飽きてしまいます。かといっ …

だしと発酵、暮らしに関するヒントをデザインの視点を交えてお届けします。

2019年11月
« 10月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930