そもそも出汁の定義って
「出汁」って、あらためて考えますと、どう説明しましょう。
えーと、かつお節とか昆布とか。手軽にほんだしとか、だしパックとか。。。?って思いがちですが
例えば、私が学んだ、だしソムリエ協会のテキストによりますと
「だし」とは、「独立してとれるもの」と「自然にとれるもの」の両方があって
どちらも「だし」と定義します。
(だしソムリエ講座2級テキストより)
ということなんです。
えーと、つまりどういうことかというと、
前者は、かつお節や昆布、煮干しなど、だしをとる目的のためだけに独立してとられたもの
後者は、野菜や魚介、肉など、調理の中で素材から自然にでてくるもの
になります。つまり、「だし」はすべての食べ物からとれると解釈し、
天然素材からうまみを抽出したものは全部「だし」というのです。(と協会は定めました)
だから、味の素などの化学調味料が入ったものは「だし」と呼ばず、塩、味噌、醤油など、調味料も別のものと考えます。
まあでも確かにそうですよね、別になんでもかんでもかつお節や昆布なんて使わなくても
素材の旨味は料理の中から出てくるものなんて、無数にありますからね。
そんなわけで、今回記事のタイトルは「豚汁は出汁を使うとまずくなる」と書きましたが、
正しくは、「豚汁は独立して取れる出汁を足すとまずくなる」
ということになります。
え、豚汁作るときに、ほんだし入れますよ〜。入れなきゃ薄っぺらい味になっちゃうじゃな〜い?
って思う人多いと思います。
実際、僕もそう思っていました。しかし、どうやら違っていたのです。
だいたい、まずくなるってどういうこと??
豚の脂と野菜から出る「だし」が豚汁のうまさを充分に作る
だしソムリエ1級講座の試験課題に、豚肉と野菜だけで豚汁を作ってレポートを書くというものがあったのですが、
そのときまで、私は豚汁にはガンガン出汁を使っていました。
この課題の意図も、いかに独立して取れる出汁(かつお節や昆布)が重要かに気づかさせるための課題なんだろうなと勘違いして
きっと薄っぺらい味の豚汁ができあがるんだろうなあと思っていたのです。
使った材料は下記の通り
- 豚肉
- 豆腐
- ごぼう
- こんにゃく
- 人参
- 大根
- 長ネギ
- 米味噌
これだけです。いざ、調理!
じゃーん、完成。
まあ見た目は普通に豚汁になりますから、食べてみないと始まりません。
ズルズル。もぐもぐ。。
ズルスル。。。
「あ、、、ぜんぜん美味しい」
そうなんです。なんとも滋味深い、優しい味で美味しいのです。
かつお節や昆布がなくても、ちゃんと豚汁になっていました。
これは素材から自然にとれた「だし」が効いていたからなんですよね。
どうやら、「だし」は、多ければ多いほど美味しいと感じるわけではなく、
「旨味成分の量」=「おいしさの量」では必ずしも無いようなのです。
これは、NHKのためしてガッテンでもやっていたことなのですが
旨味成分の量はある一定のところまでは量が増えると美味しいと感じるのですが、それ以上増えると美味しいと感じる度合いが減ってしまうようなのです。むしろくどいとかしつこいとかになっちゃうみたいなんです。
さすが、NHK、ちゃんと科学的にも裏付けているあたりがちゃんとしています。だから、出汁が増えると「まずく」なっちゃうんです。
分とく山の野崎シェフも同じことを言っていました。
野崎シェフも豚汁を作るときは、豚肉はさっと湯通しするそうです。そうすることで、肉のまわりの余分な灰汁を洗い流して旨味だけが残るそうなんです。なんか、ゆでちゃうとそこで旨味が逃げちゃうかと思っていましたが、逆だったのですね。
豚汁作る時、まず豚肉を炒めるところから始めるひとも多いかと思いますが、それも間違っていたんですね。
間違いだらけの「豚汁」。
まだまだ奥深いだしの世界への追求は続きそうです。
p.s.
野崎シェフは、「おでん」も出汁が要らないと言っていました。本当かなぁ。。。今度おでん作ってみようと思います。そのときは、レポートします。