みなさん、男の料理というと、どんなイメージをお持ちですか?
おそらく、「簡単」「豪快」「適当」なんていうのが大体のイメージなんじゃないでしょうか。
チャーハンを強火でジャジャジャって炒める、みたいなのが男の料理という感じでしょうか。
今回はそんなチャーハンに勝るとも劣らない、まさにこの三大特徴が生きたお料理をご紹介します。(料理と呼んでいいのかもわからないくらい簡単で豪快で適当ですよ)
題して
簡単オレ流「煮干しメシ」
です。
以前、煮干しの出汁の取り方の記事で、80度を越えると、揮発性カルボニル化合物が発生して魚臭くなるので、あまり煮立たせないようにしましょうということを書きました。
しかし、その後、いろいろと文献を読み漁っていたところ、どうやら100度で20分以上煮出すと、この魚臭さが飛ぶらしいということが分かりました。
なるほど、いま流行の煮干し出汁のラーメンも、グラグラと煮干しを煮込んでいる映像がよく見られますが、そういうことだったのかと納得しました。中途半端に煮出すと臭いけど、ガンガン煮出せばまた美味しくなる。これぞ男の料理の真骨頂。
100度で20分以上か。
ピンポーン。
閃めいた!
炊き込みご飯にしたら、バッチリなんじゃないだろか。
ということなんです。
では、いきましょう。
●お米:2合
●煮干し:20g
●昆布:10g
●酒:大さじ1
●みりん:大さじ1
●醤油:少々
具は他に一切ありません。包丁もなにも要りません。
いいんです。これでいいんです。
煮干しは頭と内臓はとっておきましょう。
その手間さえ面倒臭い真の男の人は、なんならそのまま全部入れてしまっても構いません!グラムなんて計らなくて、片手でワシっと掴んで、ドサっと入れてもらってもいいです。それくらい適当でかまいません。
全部炊飯器に入れちゃいまして、
翌朝炊けるようにタイマーをセットすれば終了!
なんと楽チン。
翌朝
煮干しのいい香りとともに炊きあがっていました。
昆布もホロホロに柔らかくなっています。
昆布、捨てちゃうのはもったいないので、細く刻んで混ぜこみましょう。
完成です。
余計なものは一切入っていない「煮干しメシ」ですが、
これがなかなかどうして、美味しいのです。
たしかに、魚の香りはします。
でも、嫌なタイプの香りではありません。不快な臭みは綺麗さっぱり飛んでいます。
他に具を入れていない分、煮干しと昆布の旨味をダイレクトに感じることができます。ウイスキーでいうところのシングルモルト。
食べ進めるうちに、途中で味が単調に感じるようなら、香の物などを添えると良いでしょう。一般的な炊き込みご飯は味が濃く、具も多くしっかりしていますが、この煮干しメシは、シンプルなだけに、逆に他のおかずと合わせることで飽きずにたくさん食べることができます。白米と同じくらいシンプルな立ち位置かもしれません。
塩気も、もともと煮干しに入っている塩分をベースに、醤油でちょっと香り付け程度なので、非常に薄味ですが物足りないとは感じません。これは、出汁の旨味のなせる技です。
「男の料理」と銘打ったわりには、味わいは随分と繊細に出来上がります。
最後にこの煮干しメシを成功させるポイント。
●昆布は利尻昆布がおすすめ(昆布臭さが少ないので)
●煮干しと昆布が水を吸うので、炊飯には水多め
●煮干しと昆布が水で戻る時間があるので、最低3時間は浸水してから炊く
この3点さえ守ってもらえれば、まず間違いなく成功です。
煮干しと昆布から旨味がたっぷり出ますから、顆粒だしだのめんつゆだの一切要りません。
余計なことしないのが一番のポイント。
炊き上がりに、刻み生姜やごま塩など振ってもアクセントになって美味しいと思います。(おべんと箱の歌そのものですが)
昆布を刻む工程さえなければ、包丁もまな板も不要。
もし、キッチン棚の奥に煮干しの在庫をかかえて困っている人がいましたら、一度この煮干しメシをやってみるのはいかがでしょうか。(ただし、古く酸化してしまった煮干しは美味しくないので、あしからず。)
楽しても、美味しいものは出来ちゃうんですね。