キムチ。
美味しいですよね。焼肉屋さんでは欠かせないですし、日常でも豚キムチとか、キムチ鍋とか、なんだかんだ馴染み深いものがあります。
今回、鎌倉の出汁友のLEEさんのお誘いで、キムチ作りのワークショップに参加してきました。
その時のレポートをします。
キムチ、改めて向き合うと、これなかなか素晴らしい発酵食品です。そして、日頃食べていたスーパーで売っている安物のキムチがいかに偽物だったかということがよくわかりました。
刻んで混ぜて、寝かせる
今回は、白菜のキムチと大根のカクテキを作りました。
この記事では白菜キムチにスポットをあててご紹介しようと思います。
まずは材料です
●白菜:1kg
●ニラ:半束
●水:1カップ
●塩:1/3カップ
●ヤンニョム
なお、ヤンニョムは以下の通り
・リンゴ:1/4個
・玉ねぎ:1/2個
・にんにく:5粒(お好きな人は10粒)
・生姜:10g
・唐辛子:2/3カップ(荒いのと細かいのをブレンドする)
・出汁:1/2カップ(煮干しベース)
・イワシの魚醤:ティースプーン2杯
・アミエキス:テースプーン2杯
・砂糖:ティースプーン1杯
・小麦粉(米粉)の糊:1/2カップ(ご飯でも可)
・水:1カップ
かなり種類が多いですが、香味野菜と香辛料、旨味の元のエキスに乳酸菌の餌になる糖質、と考えればいろいろ整理できると思います。
ということで、はじまります。
素敵に盛られた野菜をひたすら刻みます。
白菜は本場では刻まずに丸のまま漬け込むようですが、日本の家庭ユースなら、こうやって食べる大きさに刻んでしまってOKとのこと。
次によく塩もみして、水分を出します。
次にヤンニョムを作ります。
これは、さきほどの材料を全部入れたらミキサーにかけます。
見た目はスムーチーっぽいですが、すでにうまそうなキムチ的匂いを発しています。
ちなみに、魚醤などはご覧のような本格のものが用意されていました。
日本人の私には、何が何やらよくわからず、この時点で、家に帰ってもう一度作るのは難しそうだと思ってしまいました。うーむ。新大久保に行けば、だれか教えてくれるかな。
唐辛子は、粒子の荒いものと細かいものが2種類。
荒いものは辛さを出すため、細かいものは赤い色を出すためだそうで、
ブレンドはお好みで配合してね、とのこと。我々のチームはやや辛を目指しました。
さきほどのヤンニョムの元に唐辛子をいれて
よく混ぜます。
くわ!目が痛い。これは、イカンやつだ。辛そーー。
そこら中で、いい大人たちがワーワーキャーキャー言って楽しそう。
そうこうしているうちに、塩もみしていた白菜がしんなりしていましたので
ざっと水洗いします。
水洗いを終えたものを食べると、ほんのり塩味の浅漬け状態。しょっぱすぎるときは、水洗いの時間を増やします。そしてヤンニョムとあわせて行きます。
おお、キムチだ、キムチだ!!
ちなみに、各段階でいちいちつまみ食いしましたが、もちろんまだ発酵はしていないので、
美味しいけれど、まだあのキムチではありません。
そして面白かったのですが、今回5チームに分れて同じレシピで仕込んだのですが、
それぞれ不思議と味わいが異なっていました。ちょっとした塩や辛子の配分で違うのかしら。
韓国ではそれぞれ家庭の味のキムチがあるといいます。この5組でさえこれだけ違うのだから、
それぞれの家の味があるのでしょうねえ。とても納得。
ちなみに、事前に作っていた手作りキムチと、市販の安物のキムチと味比べをさせてくれました。
なるほど、市販の安物キムチは、実は、キムチ風に味付けされているだけで、ちゃんと発酵していないらしく、たしかに、すごーく人工的で、味が薄っぺらい、かつ現代人が食べやすい味にチューニングされていました。なるほどねー。たしかに、これはよく食べていたけど、これは偽物だったのかあ。
よくわかりました。
レシピから伝わるうま味の秘密
キムチは、もともと白菜など漬ける野菜についている乳酸菌を増やして発酵させた漬物。
なので、発酵させるために別途麹などは不要です。そのあたりは日本のぬか漬けとも共通するところ。○○の元とか入れなくても、自然に居るもので、それになっていくというのが、目に見えないだけに、なんだか不思議だなあといつも思います。
日本の漬物と異なるのは、味付けに魚醤やアミエキスなど、動物性の要素を入れること。
これを入れることで動物由来の独特の風味が、より一層味わいに深みをもたらしてくれているように思いました。ただ、魚醤など動物性のイノシン酸は発酵過程で分解されてしまうので、グルタミン酸しか残りません。なので、キムチはいずれにしてもグルタミン酸のうま味がベース。
魚醤はプロテアーゼ分解した後のエキスなので、これらがキムチの発酵にどう作用しているのかはよくわかりませんが、いずれにしても、たぶん結構複雑なことがこのキムチの発酵過程では起こっているじゃないかと思っています。
また、唐辛子が大量に入っていることで、腐敗菌の活動を抑えることができるので、ぬか床のように混ぜる必要もありません。なので寒い冬に大量に仕込んで、それを1年間食べられるというのも、メリットですね。
こうして、あらためて本物の手作り発酵キムチを味わって見ると、
味覚の5味(塩味、甘味、酸味、苦味、うま味)と痛覚の2味(辛味、渋味)の全てが備わっていることに気がつきました。
なるほど、どうりで美味しいわけだ。これだけで全部が成り立っているものね。
まさに口の中は交響曲状態。素晴らしいハーモニーを奏でています。
きっと美味しいキムチというのは、このバランスが素晴らしいのでしょう。
これとご飯があれば、しばらく行けそう。
ああ、発酵食品。
全ては美味しく長く食べたいという先人たちの知恵から生まれた技法。
その土地の風土や気候にあわせてその土地独自のものがあるので、それはまさにテロワールだなあと思いつつ、こうして現代では、その土地に行かなくては食べられなかったものを手軽に食べられるのだから、まったく便利だなあと思うと同時に、本物だと思っていたものは○○風でしかないというものも多くなってしまったのだなあと思う今日この頃なのでした。
これ、日本の出汁文化にも同じことが言える現代。
安易な美味しさに慣れてしまうことの恐ろしさも感じた1日でした。
四谷にキムチ博物館があるらしいので、今度行ってみようかな。。。
ちなみに、Leeさんのお店は鎌倉駅徒歩5分のところにある
おしゃれなカフェです。
鎌倉で面白いことやってる人たちの社交場にもなっています。
もし鎌倉にお立ち寄りの際には是非遊びに行ってみてくださいね
きっと虜になるはず。
p.s.
帰りの電車では、キムチ臭が全身からしていたのか、私の両隣の席はいつまでも空席のままでした。
チーン。