だしと発酵、暮らしとデザイン

丁寧で本物の日本の次世代の食生活を提案する、ライフスタイルWEBマガジン

だしについて

【永遠の二択】ざる蕎麦か、かけ蕎麦か

投稿日:

蕎麦好きの人にとって賛否の別れる、ざるかかけか問題。

完全に好みによりますが、永遠の課題ということにして、

まずは、出汁の配合から検討してみましょう。

 

ざるそばのつゆですが、

出汁:かえし=3:1

くらいの比率でできています。

(かえしとは、醤油とみりんと砂糖を混ぜて寝かせたもの)

 

次にかけそばのつゆですが、

出汁:かえし=10:1

くらいになります。

 

これだけをみると、出汁の量ではかけそばの圧勝になります。

 

しかし、それぞれの出汁にどれくらいの出汁素材が使われているのか見ていきますと

ざるそばのつゆは

水に対して、10パーセントくらいの量の出汁素材を使います。

一方、かけそばのつゆは

水に対して、5パーセントくらいの出汁素材を使います。

 

つまり素材の量が倍違うことになります。

よってもって、素材の量だけでみると

ざるそば3:1に対し

かけそば5:1になります

だんだん近づいてきましたね。

 

で、ここからはまたお店によるので、一概には言えませんが

ざるそばは、かつお節だけで作るというのがスタンダードだとすると、

かけ蕎麦は、鯖節や宗田節などかつお節以外の節をブレンドして使うとまろやかな広がりになるので、こちらをスタンダードとします。

 

これを原料コストでみていくと、かつお節だけ出汁のほうが高くつきます。

よってもって、

ざるそば3:1に対し

かけそば4:1くらいまで近づいてきます。

ますます僅差になってきました。

 

と、ここであることに気がつきました。

そもそもざるそばは、蕎麦猪口に半分くらい入っているだけの分量。

対して、かけそばは丼ぶりにたっぷり入っています。

 

ベースの分量が違う。。。

 

そうなると、圧倒的にかけそばのほうが出汁をいただく絶対量が多いということになりました。

くそー。いままでチマチマ考えていたことはなんだったんだ。

なので、かけそばの勝利!!!

 

と思いきや、

ざるそばのつゆは出汁が濃いということは、うま味が強いということ。

そうなると、口の中で感じる出汁の喜びは、ざるそばの方が上になる可能性もあります。

さらに、ワサビというオプションがあります。これで味に変化をつけられます。また、刻み海苔ものっていて香りの変化を楽しめます。(もりそば除く)

また、つゆにあまり付けないでいただくことで、蕎麦そのものの香りを楽しむことができます。

さらに、食べ終わった頃には蕎麦湯が提供され、そばつゆを最後まで美味しくいただくことが可能です。

となると、単に出汁だけの問題ではなくなり、

出汁を楽しみながら、いかに食事として飽きさせずに展開できるかという観点からは、ざるそばが一歩抜きんできます。

 

とはいえ、冬の寒い時期につめたいざる蕎麦を食べるというのも、あまりいただけない気分のときもあります。そういうときにはやはり暖かい蕎麦がありがたいもの。七味をかけるなど、変化を出すことも可能です。

うーん。

 

今度はお店の側からの視点でいきますと、

コストとしては出汁の量が多いかけそばの方がざるそばよりかかるということになります。

なので、ざるそばが出る方がオイシイ。

と思いきや、かけそばは単品で頼む人というのもあまりいなく、なにかしらトッピングをつけた蕎麦が注文されることが多いと思います。となると、かけそば系のほうがトータルでは利益が上回る。しかし、ざるそばを頼む人は、お酒を飲む人の比率がかけ蕎麦より高い。そうなるとざるそば系の方がお金を多く落としてくれる。しかし、ざるそばのほうがざるやお猪口、薬味皿など洗い物が多い。後片付けが面倒くさい。座席で新聞など読まれてだらだらされると回転率が下がってしまい、トータル的にはかけそばのほうが回転率は上がる。

などと、考え始めますとですね、

 

えー。結局答えが見えなくなるのでした!

だっはっはっはっはー

 

ということで、決着はつきませんでした。

え!今日はそれだけ???

はい、すみません。

次回、挽回します。。。

-だしについて

執筆者:

関連記事

【だしとりレポート】サメ節 2

前回レポートから随分と時間が経ってしまいましたが、話題のサメ節を実際に料理に使ってみての感想を私の独断と偏見で勝手にレポートするコーナーの第二弾です。前回は豚肉と野菜の煮込みを作って美味しさを堪能しま …

出汁を引こう! 〜発酵宗田節

しばし、記事の更新をご無沙汰していましたが、情熱を失ってしまったわけではなく 単純に本業に忙しくしていました。(まだ忙しいけど、現実逃避) ということで、徒然なる出汁ライフのストックから、記事を書きま …

【コラム】うま味は、生き物最期の晴れ舞台だ

生きとし生けるものは、やがて必ずその命を終え、その体は土に帰って行きます。そのプロセスは「発酵」をともない分解されていきますが、同時に、「うま味」という特別な瞬間も作り出しています。   エ …

【男の料理】煮干しメシを炊こう

みなさん、男の料理というと、どんなイメージをお持ちですか? おそらく、「簡単」「豪快」「適当」なんていうのが大体のイメージなんじゃないでしょうか。 チャーハンを強火でジャジャジャって炒める、みたいなの …

【イベントのお知らせ】出汁 × 発酵 × 僧侶 in 鎌倉

  ワークショップのお知らせです 2019年7月7日に鎌倉のクレインポートにて開催のワークショップイベント「乾しいたけの底力」。 当ブログを主催する私山根も主催者の一人です。今回はこちらのイベント内容 …

だしと発酵、暮らしに関するヒントをデザインの視点を交えてお届けします。

2024年4月
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930