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発酵を考える

ぬか漬けDays 〜赤かぶ

投稿日:2018年11月17日 更新日:

赤カブの季節になりました。

いやー、赤かぶ、私大好きなんです。

かぶにかぎらず野菜なのに赤だったり紫だったりするものって、なんだか栄養がありそうな気がして、見かけるとついつい買ってしまいます。

彩りも良いですしね。

普通は赤かぶは酢漬けにするのが一般的かと思いますが、今回は糠漬けにしてみることにしました。

(といいつつ、酢漬けも作りましたが)

では、はじめましょう。

まずは皮をうすくむきます。

漬け物の場合、皮ごと漬けても大丈夫なんですが、最近読んだ本で野菜の残留農薬の話がけっこう衝撃的で、皮部分にけっこう残っているらしいんです。糠漬けに野菜を皮ごと漬け続けていると実はぬか床に農薬が凝縮されてしまうらしく、ちょっとビクビクしています。その本によれば50年物のぬか床なんかよりも、毎年新しく床を作り直した方が良いとのことでした。なるほどー、いろいろな見解があるもんですなあ。

ということで、今回買った赤かぶはとくにオーガニックスーパーで買ったものではないので、皮はカットすることにしました。

早く漬かるように、1/4にカットしてみました。

中は結構白いカブですね〜

えいや!マイぬか床に投入して

36時間ほどつけ込むことにしました。

(というか、気づいたら36時間経ってしまっていた)

引き上げてみますと、

まわりの赤い色は随分と薄くなってしまっています。あらま。

ぬか床に色が移っていたわけでもないので、なんらかの化学反応が起こっているのかなあ。

ほどよくしんなりと柔らかくなっています。

切ってみますと、薄くピンク色に中まで色づいていて、なんだかこれはこれでお上品かも

ちなみに、同時に酢漬けにした赤かぶと比べてみますと、ご覧の差!!

酢漬け、凄いなあ。着色料なんて一切使っていないのに、見事な発色です。

では、糠漬けの試食を行ってみます。

いただきまーす。

ポリ、ポリ、ポリ。

おー、いわゆるカブの糠漬けですね。

しかし、白いカブよりも身がしっかりしているのか、なかなか食感が素晴らしいです。

漬ける時間がちょっと長かったのか、若干塩味が強くなりすぎてしまいました。

しかし、糠の香りとのバランスはなかなかのもの。

香の物の盛り合わせの1品に入っているといい感じがします。

彩りも暖色が入ると生えますし、なかなかよいと思います。

なにより、赤かぶは出回る時期が限られていますから、旬の食材をいただいている感があって、満足度高し!

ハレとケの日々において、上質なケの時間を演出できる逸品なのではないでしょうか。

それにしても、赤かぶといえば、木曽地方のすんき漬け発酵食品としては外せません。すんきは、赤かぶの葉っぱ部分だけを漬け物にしたものですが、なんと食塩を使わないで乳酸発酵させた世界にも稀に見る漬け物。内陸で塩が貴重品だった地域ならではの工夫で生まれた保存食。独特の酸味と旨味が木曽の食事には外せません。しかも、このすんきが面白いのは含まれる成分がなんとコハク酸なのです。出汁に詳しい人ならすぐにピンとくると思いますが、コハク酸というのは、貝の旨味成分なのです。味噌汁の具に入れられるそうですが、つまり長野の山間で、木曽の人は貝の味噌汁と同じ旨味を味わっていたということなのです。そりゃあ病み付きになるわなあ。これは興味深い。

いまでもすんき漬けは木曽地方でせっせと作られているようで、普通に家庭でも作られるそうなんです。だから、いまごろの時期は木曽の奥さん方はすんきを漬ける高揚感でギラギラしていることでしょう。大量の食材を仕込むのって、わくわくゾクゾクするんですよねえ〜。作る人ならわかる感覚。いいなあ、僕もやりたい。

ということで、東京で出回る赤かぶは、葉っぱが付いてない状態で売られていることがほとんどです。みんな現地で漬け物にされちゃうんでしょうか。多少はこっちにも回してくださいな。

まあ、なかなか東京では食べられませんので、アンテナショップにでも行って買ってくるかなあ。

秋は実りの季節でもあり、冬を越すための仕込みの季節でもありますね。

では、また。

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