出汁の取り方って、人によって温度も時間も出し方も言うことがまちまちで、何が正解なのか戸惑ってしまうことがあります。それが出汁を難しく思わせているハードルのひとつだと思いますが、いままで横並びで検証された話や記事は見たことがないので、ならば私がやってみて、何か解答らしきものをお伝えできればと思い、実験してみることにしました。
まず1回目は昆布です。
今回は500ccの水に対して5gの昆布を用意。昆布は道南真昆布、天然、1年熟成。部位によりばらつきをおさえるため、真ん中近辺を使用。
下記のような状態を用意しました
1. カットなし
2. ミルミキサーで粉末にしたもの
3. 繊維に沿って縦にちぎったもの
4. 繊維に垂直にハサミで切り込みを入れたもの
です。
おそらく考えうるパターンはこんな感じかと。
それぞれ30分水につけまして
ごく弱火で10分煮出します。
(粉末はお茶パックに入れて煮出しました)
時間になり昆布を取り出した後、一度さっと煮沸して完成とします。
さあ、評価していきましょう。
下記写真は同じ露出、シャッタースピード、ISO感度、ホワイトバランスで撮りました。
淡い色で分かりづらいですが、若干の色の濃さに違いがあります。
1 < 3 < 2 < 4の順番で色が濃くなっていっていました 。つまり、横に切ったのが一番濃くなりました。
では、官能チェックをしていきましょう。
スプーンですくって一口すすり、よく味わって、水を飲み、次をすする、ということをしていきました。
おそらく個人差もかなりあるところですが、ひとまず私と家族の感想をまとめました。
1. カットなし
・スッキリした味わい
・さらりとした口当たり
・昆布の臭みは一番少ない
・他の食材を引き立てるであろう控えめな主張
2. ミルミキサーで粉末に
・やや雑味を感じる
・口当たりはすっきり感の後に粘りが残る
・昆布の臭みは程よくある
・コクの強い食材には合いそう
3. 繊維に沿って縦にちぎったもの
・上品な味わい
・さらり感と粘りのバランスが良い
・嫌な香りがなく、むしろ昆布の良い香りが出ている
・どんな料理にも合いそうな旨味がある
4. 繊維に垂直にハサミで切り込みを入れたもの
・ねっとり感がすごい
・昆布の臭みが出ていて、これが嫌いな人には敬遠されそう
・雑味は少なく、軟水のような口当たり
・ねっとりは、よく言えば甘みやコクに感じられる
以上が味や香りの感想です。
一応補足しておきますと、どの出汁も美味しい昆布出汁です。不味いということはありませんでした。そして、違いは非常に微細でした。積極的に意識しなければ、違いがわからないくらいです。しかし、注意深くみれば傾向の違いあったと言えます。
せっかくなら、美味しい出汁をとれるものが分かるといいですし、それは共有していきたいところ。
今回の実験での総括としては、繊維に沿って縦に切って出した3番目の出汁が一番美味しくバランスがよかったと思われます、
ちなみに、粉末タイプはお茶パックの中でネトネトになっていましたので、お茶パックに入れずにジャンピングさせて煮出したら、口当たりや味はまた違ったかもしれません。
今回は以上としますが、昆布の種類、水出しや温度、ローストしてから出すなど、ほかにも比べるべき対象があります。今後とも続けていって、データをストックしていければいいなと思いました。