だしと発酵、暮らしとデザイン

丁寧で本物の日本の次世代の食生活を提案する、ライフスタイルWEBマガジン

だしについて

サケ節は、昆布要らずの凄いやつ

投稿日:

鮭節には、うまみの2大成分が含まれている!

みなさん、鮭節ってご存知ですか?

書いて字のごとく、鮭の節です。

そう、かつお節の鮭バージョンです。

まだあまり知られていないと思いますが、最近あたらしく北海道で開発されたものなんです。

そしてこの節、なんと、イノシン酸とグルタミン酸を両方持っているんです!

「うまみ」の成分について詳しい方ならすぐに分かると思いますが、

かつお節のうまみはイノシン酸、昆布のうまみはグルタミン酸。

動物系の旨味にはグルタミン酸が入っているというイメージがありません!

その何がすごいかといいますと

「うまみの相乗効果」といって、この二つが合わさることで

人間が感じる「うまみ」は爆発的に上昇するのです。

そのため、和食の世界では、かつおと昆布の合わせだしをするのです。

鮭節にはグルタミン酸も入っている、ということは、

つまり、昆布要らず!ということなんです。

ちょっと、聞きました?奥さん!

すごーい!

すごいですねー。たしかに、刺身でサーモンを食べても、なんともいえない旨味を感じますし。

まぐろよりサーモンが好き!という人が多いのも、なるほど、そういことだったのかあ!と妙に納得しました。

ちなみに、醤油のうまみもグルタミン酸。トマトのうまみもグルタミン酸です。

あと、母乳もグルタミン酸です。離乳食に昆布出汁を使うとよく食べてくれるのは

こういう理由があったのですねー。

だしといえば、かつお節ばかりがスポットがあたりますが、イノシン酸だけが主役じゃないのよー!

鮭節開発の裏側

鮭節は、かつお節や煮干しなど、長い歴史の中で経験を重ねて受け継がれて完成していったというよりは

一生懸命研究して作られました。

歴史は浅く、平成22年度北海道新技術・新製品開発賞で賞を取って初めて世に知れました。

もともと、産卵期を迎えた鮭は、筋肉に含まれる脂肪分がイクラのほうに移っていき、身は美味しくない

ということで、捕獲された鮭は肥料にされたり利用価値の低いものとして扱われていました。

この資源がもったいない、何かに使えないかと考えたところ、

節類を作るときは、魚に脂がのっていないほうが良いということを知った

「のりとも朝倉商店」の朝倉奉文氏がリーダーとなって

試行錯誤して作られたと言います。

東京にも流通するようになって、まだ数年しか経ちませんが、かつおの漁獲高が減って行くニュースが流れる昨今、

将来有望なだし素材になるかもしれませんよ!

-だしについて

執筆者:

関連記事

【MOTTAINAI】出汁ガラだって食材にしたい 1

日頃、日常的に出汁を引くという方にはきっと共感を持ってもらえると思いますが、 出汁ガラの処理にはいつも悩まされます。 だって、捨てるの勿体無いじゃないですか。 出汁に栄養分は数パーセントしか溶け出して …

煮干しでポン酢を仕込む

年の瀬が迫りました。 お節作りも絶賛進行中ですが、ちょっと脱線。 先日作った橙のポン酢、橙がちょっと余ていて、晩酌の焼酎に割る元に使ったりして楽しんではいるのですが、せっかくなのでもうちょっと何かして …

一番出汁の引き方

さて、今日は改めて初心に戻って、一番出汁の引き方をお伝えしたいと思います。 「一番出汁」という言葉は、お料理をあまりしない人でも一度くらいは耳にしたことがあるのではないでしょうか。「一番出汁だから、一 …

そばつゆを仕込む会

イベントのお知らせです 「だしと発酵、暮らしとデザイン」の今年最後のイベントのご案内です。 南青山のティールームTe’Salaさんのご協力により、「南青山おだし倶楽部」という不定期のイベン …

【プロテアーゼ】マイタケ発酵焼きアゴ出汁

以前、マイタケのタンパク質分解酵素プロテアーゼの力を借りて、鰹節の厚削りで出汁をとることをレポート&おススメしました。 マイタケは、ある温度帯にすると、タンパク質を分解する酵素を非常に強く出すので、出 …

だしと発酵、暮らしに関するヒントをデザインの視点を交えてお届けします。

2024年3月
« 1月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031