だしについて

「無添加」ほど要注意

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最近よく目にする「無添加」を売りにした商品があります。(写真は一例)

これ実は食品表示のカラクリがあるんです。

無添加を大きく謳っている商品ほど、ダメな場合が多いので要注意ですよ。

 

そもそも添加物って

添加物といえば、保存料や着色料などが有名ですが、出汁に関しては、いわゆる化学調味料というものが添加物にあたります。代表格は「味の素」。つまりグルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムの旨味成分です。こういった人工的につくられた旨味成分は健康に良くないイメージがありますので、毛嫌いしている人も多いかと思います。食品表示では「調味料(アミノ酸等)」と書かれているものがそれにあたります。なので、この表示があるものは避けているという人はいらっしゃるかもしれません。

しかし、それだけ気にしていれば大丈夫なのでしょうか。

実は裏があったのです。法律的に表示上は添加物に当たらないけれど、人工的に生成された旨味を増幅する成分で限りなく添加物に近いけれど、分類的には「食品」として存在するものがあったのです。

 

気にすべきワードは「酵母エキス」と「たん白加水分解物」

この二つの成分、これらは、どちらも食品として分類されています。それぞれなんのために入れるかというと、化学調味料を使う代わりにこちらを使うことで旨味を増幅させているのです。なぜそんなことをするかというと、本物の出汁素材だけで旨味成分を抽出しようとすると、どうしても原料コストがかかってしまいます。つまり、まじめにやると儲からないのです。高いと売れないですし。だから、なるべく使う出汁原料の量を減らして、安価で旨味を足せる「酵母エキス」や「たん白加水分解物」を加える事で下駄を履かせているということなのです。消費者のためではなく、企業の利益のためにあります。私はこれらの成分を「うまみブースター」と呼んでいます。いろいろな商品の裏面をよくよく見てみると、入っていること入っていること、ホントにビックリするくらい入っています。なんと、あの茅○舎にも「酵母エキス」がばっちり入っています。ショックです。要するに「添加物」に対する風当たりが強いから、別のもので置き換えているだけで、天然素材だけにこだわって作っていない、ということなのです。ついでに「無添加」と言えてしまうので、さも健康によさそうに堂々と「無添加!!」と大きく言うわけです。盗人猛々しいといいますか、負け犬ほど良く吠えるといいますか、悪い人ほど弁が立つといいますか、とにかく大げさに言っていれば言っているほど怪しさ満天なのです。ほんと、食品業界のブラックな一面だと思います。もちろん、本当に素材だけにこだわっている商品も中にはあります。だけど、この法律上の分類だけで「無添加」を堂々といえてしまうことで、本当に良いものと、まがいものとの区別が付きづらくなっているのがいまの現状だったりしているのです。

 

「酵母エキス」は何が悪い?

酵母エキスは、もともとビールの製造過程で出る廃液の酵母など、いわば産業廃棄物だったものに酸や酵素などを加えて人為的にアミノ酸(うまみ成分)をつくりだした代物です。自然界にあるものではないものを人為的に作り出しており、精製一歩手前の合法ドラッグみたいなものです。健康被害というのはいまのところ聞いたことはありませんが、強いうまみがあるので、そればかりを摂取していると、本来の自然のうまみが分からないバカ舌になります。そして、どんどん耐性ができてしまうので、この食生活を続けていればいるほど、うまみが強くないと美味しく感じられない状態に陥ってしまいます。

 

「たん白加水分解物」は何が悪い?

たん白加水分解物も目的は一緒で、うまみを足すための成分。こちらは、原料がタンパク質です。植物性のものと動物性のものがありますが、植物性のものは大豆やトウモロコシなどの油をしぼったあとの残りかすを高圧で塩素で分解したもの。動物性のものは、屠殺の際に出た血液、毛、骨、皮、じん帯、羽根など食用にならない部分を劣悪な原料から作られていて、こちらも塩酸をつかってアミノ酸に分解します。中国ではなんと人間の髪の毛を原料しているそうです(!!)こういった訳の分からない原料を使ってつくられた成分も法律的には「食品」となります。たん白加水分解物はクロロプロパノールという発がん性物質が加水分解の際に生成されてしまいます。いちおう除去はされているということですが、結局人のやることですし、利益ばかり追求する悪い業者がいれば分かりません。とにかくこういったものになってしまう原料の出所まではとても追跡できません。怪しさ満天です。これも食品衛生法的には立派に「無添加」と名乗れてしまうパラドックス。

 

安くてうまいには必ず理由がある

本当に良い素材を使って、正しく、健康的で美味しいものを作ろうとすると、どうしてもコストがかかります。企業努力にも限界があります。食品も経済の一部ですから、安くてうまいものに消費者は流れてしまいます。見かけ上美味しさが同じだったら安いほうを買ってしまうのは無理もないですよね。でも、健康はイコールではないということをよく覚えておく必要があります。もちろん、毎日そんな正しい食生活をするにはコストがかかりますので、ある程度は悪いもの、グレーなものを許容していくしか無いかもしれません。しかし、一番良くないのは、法律の盲点をかいくぐって、さも健康に良さそうに謳う「無添加」食品たち。もはや詐欺としか思えません。ある程度リスクを承知の上で使うのと、健康に良いと思って使うのとでは、摂取の仕方も頻度も変わって来ると思います。

 

たとえば、このページの上に貼った某「無添加顆粒だし」、なにもわからない新人ママだったら、健康に良いと思って赤ちゃんの離乳食にせっせと使ってしまうんじゃないでしょうか。それによって、味覚が崩壊したり、よくわからない怪しい原料でつくられた成分を摂取して何十年後かになにか影響が出たとして、いったいだれが責任をとるのでしょうか。「買ってはいけない」ではなく「私たちは、知らなくてはいけない」「知った上で買うか買わないか判断する」ということにシフトしていかないと、自分や家族の人生と味覚が知らないうちに経済活動の食い物にされてしまいます。

 

食品を扱う企業に対しては、仮に「酵母エキス」も「たん白加水分解物」も、その原料と製造過程において自信満々で健康を言えるのなら、そこまで含めてアピールして欲しいです。「酵母エキスは立派な食品です。だって法律でそうなっているから」では、納得いきません。コーヒーの世界でも、最近流行のスペシャリティコーヒーは、その豆の出所からちゃんと管理されているものがスペシャリティコーヒーと名乗れるそうです。そこに高い付加価値をつける事ができるので、結果的に企業も儲かるし、消費者も満足できます。

出汁業界ももっとそっち方面にシフトしていかないといけないと思いますよ。もうそういう時代なのではないでしょうか。

 

正しい知識で、正しい出汁ライフを。

なんだか、今日は社会派の記事になってしまいました。

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