さて、今日はコンビニで売られているカップ味噌汁を飲み比べて、また塩分濃度や裏面表示などの内容を確認することで、それぞれのコンビニの味噌汁を分析してみようと思います。
比較するのは下記味噌汁で同条件で比較。
●商品は豆腐とわかめの味噌汁とする
●85度のお湯を適量ラインまでぴったり入れる
●よくかき混ぜて、3分待った後に、塩分濃度と香りを検証
●スープだけを一口飲んでテイスティング
●その後それぞれの具材とともに食して、総評とする
実はですね、最近こんな塩分濃度計を買いまして、うまみと塩分の関係性を、感覚だけでなく数値化することでより説得力ある分析をしていきたいと思い購入しました。0.01%単位で塩分濃度を検査することができるので、かなり便利です。
味噌汁の最適な塩分濃度は0.9%と言われていますので、手始めにコンビニ各社のカップ味噌汁がいったいどうなっているのか、調べてみたいと思ったわけです。
ということで、分析スタートです!
ファミリーマート「とうふとわかめ」
裏面から読み取れる傾向は下記の通り
●味噌は米味噌と豆味噌のあわせタイプ
●昆布、かつお節、いわし煮干の万能出汁系の素材
●原材料に砂糖が入っているのはどうなのか
つまり、けっこうブレンドして万人受けする方向を狙っているが、不足した甘みは砂糖で補うという感じ。きっと原料コストと味のバランスでこうなったと思われる。また、酒精が入っているので味噌の発酵の進行を停めていることが分かる。これは長期常温保存しても味噌の品質を保つための策なので致し方ない。
お湯を入れた見た目はこんな感じです。まあ、オーソドックスな感じですね。
見た目としては、豆味噌が入っているからか、やや茶色が強いです。ネギやや細かいものが沢山はいっているからか、香りはいかにもインスタントの乾燥ネギという香りが第一印象。でも、この匂いがいかにもカップ味噌汁という王道感を醸しているので、好きな人は好きかも。油揚げがはいっているのはファミマだけ。これはポイント高く、コクが増している感じがしました。
つぎに、塩分濃度行きましょう
塩分濃度は、1.09%。
美味しいとされる0.9%より0.2%ほど濃いめです。
味はどうでしょう。
ブレンドされた出汁のおかげか、かなりつよめの旨味が広がりました。ただ、味噌に丸みがないのか、少々つっかかる印象がありました。おにぎりなどと一緒に食せば、ちょうど良く中和されるのではないかと思います。
次に具材。パッケージの謳い文句とおり、豆腐のクオリティが高く、つるっとしていて絹ごしとしての完成度は3社の中では一番高く感じました。
★★★まとめ★★★
ブレンド出汁のバランスがよく考えられていて、旨味も強い。米味噌と豆味噌とのバランスも丁度良い。ただし、味噌そのものの品質がそれほど良くないのか、たまたま古かったのか、いかにもカップ味噌汁という印象。砂糖やトレハロース、たん白加水分解物が入っているなど、天然素材でカバーしきれない補正が多項目入っているのが原料としてはマイナス。具の満足度は高めで、100円でよくここまでやれるなという感じはあった。
セブンイレブン「豆腐とわかめ」
さて、次はセブンイレブンです。
裏面から読み取れる傾向は下記の通り
●味噌は米味噌と豆味噌のあわせタイプ
●昆布、かつお節、いわし煮干の万能出汁系の素材
●添加物系の項目はやや少なめな印象
たん白加水分解物がいわし煮干粉末より先に記載があるので、化学的な旨味の追加がよりされている可能性がある。(ファミマはいわし煮干粉末のほうが先に記載)いずれにしても、こちらも万能系な誰にでも嫌われない味噌汁をねらったブレンドと考えられる。特に関東圏では嫌われることはない。
お湯を入れるとこんな感じです。具はちょっと少なめかな?
塩分濃度行きましょう。
なんと1.26%です。これはかなりしょっぱい。
ラーメンのスープとほぼ同じくらいの濃さです。
味はどうでしょう。
やはり塩分が高いだけあって、パンチはかなりあります。ファーストバイトはどの味噌汁もかなり旨味を感じます。味が濃い=美味しいと感じる人にはかなり美味しく感じるのではないでしょうか。ただ、本来の味噌汁としてどうなんでしょうと考えると、家で作る味噌汁じゃないねという結論。出汁の風味はまあまあといったところです。味噌の鮮度はファミマよりよかった印象です。
次に具材。ネギの大きさがファミマより大きくて噛んだときにネギの甘みが残っている部分もあり、そこは自然な感じがして好印象。豆腐はまあつるっとしていましたが、ファミマのほうが食感は良かった気がします。
★★★まとめ★★★
味の濃さ(塩分)はかなりありましたが、お湯を多めに入れるなど工夫すれば、添加物も少なめなので、比較的安心して飲める気がしますが、たん白加水分解物さえなければ100点。この成分、要はうま味を足す物質なのですが、あんまり摂取していると味覚障害になるそうです。根拠はありませんがこのカップ味噌汁は週1〜2回くらいにとどめておけるといいかもです。
ローソン「とうふのおみそ汁」
さて、最後はローソンです。
裏面から読み取れる傾向は下記の通り
●味噌は米味噌のみ。
●昆布無し。かつお節ベースのシンプル系
●添加物系の項目はやや少なめな印象だか、酵母エキスが気になる。
具はやや大きめ
塩分濃度は1.03%。3社の中では一番低い値。
でも、理想の0.9%よりは濃い。
味はどうでしょう。
セブンとファミマと違って、米味噌とかつお節オンリーのシングル節系なので、傾向があきらかに違いました。米味噌だけなので、色も一番白っぽいスープの色になっていました。やや甘めで白味噌タイプが好きな人は気に入ると思います。かつお節系だけだとどうしても角がたってしまう出汁を甘めの味噌(+砂糖)でフォローしてバランスを整えている感じがしました。旨味も結構くるのですが、昆布が入っていないのにここまで来るというのはどうもおかしい。たぶん酵母エキスの作用だと思われる。(酵母エキスはあんまり体に良くない。)生みそタイプなのに酒精が入っていないので、味噌の発酵を停めるためにどうしているのかが気になる。加熱処理しているのかしら。
次に具材。豆腐がどちらかというと木綿を目指している感じで、素朴な印象がありました。塩分も控えめな汁に素朴な具材でやさしい家の味噌汁を目指しているのかなという印象。味としては、自宅で味噌汁を飲みたいときにこれを飲んでもいいかなと思えるほっこり感がありました。「とうふの味噌汁」というだけあって、わかめの印象は弱めでした。
★★★まとめ★★★
味の傾向は他の2社の方向と明らかに違うところを目指していて、外でお昼のお弁当に足すというよりは、家庭での食事のお供として中食をめざした味噌汁のような印象。目指したい方向には賛同するけれど、この旨味を酵母エキスを使わないで再現してくれれば100点。「暮らしの逸品」を名乗るには無理があります。今のところ「暮らしの一品」止まり。
総評
3社とも、理想とする0.9%の塩分濃度からはどこも高くなっていたのが印象的。
おそらく濃ければ薄めればいいけれど、薄いと濃く出来ないから、クレームになるくらいなら、ちょっと濃いめに作っておいてあとは自分で調節してね、という気持ちが働いているのではと推測。あるいは出汁の不足を塩分のパンチで補っていることも考えられる。
いずれにしてもこれらの味をデフォルトとして慣れてしまうと、しょっぱい味噌汁しか美味しく感じられなくなるバカ舌人間になってしまうので、どれもちょっと多めにお湯を入れて飲むことをおすすめする。外食は味が濃いといわれるのはこういう数値でも実証されてしまいました。子供のころからこういう味に慣れてしまうと、本物のうま味がわからない人間になってしまので、特に小さい子のいる家は安易に与えないことをお勧めする。
また、各社とも旨味を補強するための添加する種類は違えど、それなりに人工物が入っているので健康を意識するなら、そもそもあまり飲まない方がベター。
(ちなみに、酵母エキスやたん白加水分解物などは添加物とは呼ばれませんが、人工的に作られるもので、健康的なものではありません。無添加と書いてある商品もこういったものをいれて逃れているものもあるので、裏面は要チェックです。)
ローソンだけ向かう方向が違うので、飲み比べて自分が一番好きなコンビニを見つけておけると良いかもしれない。
個人的にはセブンイレブンをお湯多めで薄めて飲むのが一番好きかもしれない。(あくまで個人の嗜好)
最後にコンビニ3社さまへ一言
もっと天然出汁を増やして、添加物をやめて、塩分も適量に控えたプレミアムな味噌汁を出してくれたら、プラス50円くらい平気で出せると思います。そういうラインも開発してくれると嬉しいです。いまは、分かる人は分かる時代ですよ。
※この調査は東京で行いました。地方によって同じ商品でも味を変えている可能性もあります。