今日は実際に自分の目で見たわけではないので、間違っているところがあったらごめんなさいですが、定礎と醤油樽についてのコラムです。
え?定礎?醤油樽??まったく関係ない???ですよねえ。
しかし、私は面白い共通点を見つけてしまいました。
まず、定礎ですが、これは建物を建てるときに基礎となる土台を作ったときに行われる定礎式に設置されるものですが、現代では竣工年月日等を彫り込んだ定礎板を埋め込む式典などに変化して、ある程度建設が進んでから式が行われるようです。いずれにしても、建築物を建てるときに、これはいつ作ったぞ!というのを忘れず残しておくために、墓石に使われるくらい丈夫な石に年月を彫り込んで長い年月を持ち堪えるためにしっかりと埋め込むものになります。気分としては、恋人たちが自分たちの名前を世界遺産の壁に落書きしちゃうのと、ノリとしてはおんなじようなものかな?(っていうと急に軽くなっちゃうけど。)
一方、醤油樽ですが、これは醤油を仕込む入れ物で巨大な樽でして、木製ですがなんと100年くらい持つそうです。近年は大手はステンレスの容器で大量生産してたりしますが、昔ながらの醤油蔵ではいまでもこの樽を大事に使っています。そういう蔵では、じいちゃんの代に使ってた樽を孫の代で新しくするかどうか、みたいなサイクルで使い続けられています。
そんな双方ともかなり長い期間置いておかれるものですが、そこにちょっと共通する仕込みがされていたんです。
どういうことかと言いますと、建築も醤油樽も、何十年〜百年という長いサイクルで新陳代謝していくものですから、人間のサイクルのほうが早くて、建立当時のことを知らないということが当たり前の世界なんです。
そうなると、みなさん、そういうものに何かしたくなりますよね。
はい、そうです。タイムカプセルです。
実は、定礎も醤油樽もタイムカプセルの機能を持っていまして、定礎はあの石の裏側(中側?)に、建物の設計図はもとより、当時の新聞などが入っているそうなんです。それが開けられるのは、取り壊しになる時だけ。対する醤油樽は、樽を作った時に木桶の裏に、作った人の名前などはもちろん、当時の米の価格など、時代を映す情報を書き込まれているだそうです。こちらも、見れるのは樽を交換する百年に一度のタイミングだけ。
なんかロマンチックですね。
どちらも、建立のときに携わった人は、その取り壊しの時にはほぼこの世に居ない。でも、定礎や樽を通して、未来の世代とコミュニケーションしてる。一方通行ではありますが、思いは時空を超えていく。僕だったら、ちょっと意地悪なナゾナゾなんかを仕込んでおくかも。
ちなみに、東京タワーなんかも、見えないところに当時関わっていた大工さんの名前なんかが刻み込まれいるらしいですね。
みんな自分が生きた証をちょっと残しておきたいものなのですね。
いまは何でもインターネット上に情報がストックされていきますが、100年後にこの記事はどうなっているんだろうかと思うと、きっと情報の渦に埋もれて誰にも読まれることなく、ただただ奥底にあり続けるのかもしれません。
石や桶をひっくり返したら、当時のことが出てきたっていう方が、なんか面白いなと思うので、定礎も醤油樽も引き続きこの習慣を残していってもらえるといいなと思いました。