写真:だしソムリエ2級講座のときの写真(自分で撮影)
はい!今日の記事は、かつお節の姿節(※)について築地に行って来たときのことを書きます。
(※姿節:削る前の状態の節。姿そのままだから姿節といいます。)
これまで、かつお節だけでなく、いろいろな魚の節があるということを記事にして、実際にいろんな削り節を使ってだしを取ってきました。
しかし、やればやるほど、削りたての節が欲しくなりました。
やっぱり削りたてが一番香りが高いと信じていますんでね。
ところが、乾物屋さんに行っても、ネットショップをめぐっても、どこもかしこも削る前の姿節はかつお節の本枯れ節しか置いてありません。
なぜなんだろう。。
本枯れ節だけじゃなくて、カビ付けしてない荒節も姿のまま買えないのかしら。。
ということで、乾物屋が集まるメッカ築地へいって聞いてみることにしました!
まずは、鰹節の老舗、松村さん。
朝はプロ達で忙しそうなので、恐る恐る。。
私「あ、あのぅ、荒節を姿で売ってもらうことって出来ます??」
店員さん「はい???うちそういうのやってないねー。そっちの本枯じゃダメなの?」
私「あ、はい。。本枯れは間に合ってますんで。じゃ、いいです。」
緊張していたので、そのまま食い下がることもなく、あっさり撃沈。
ここの削り節は、蒸気で蒸してから削るという独特の製法をしていて他に無い美しい削り節を作っています。
特上はかなり芸術的。しっかりしているので、多少雑に煮出してもブレない美味さがあります。
変な野郎とマークされて出禁になりたくないので、素直に削り節を買って、そそくさと退散。
気を取り直して、二軒目。
こちらも超有名、秋山さん。ここは雑節とのブレンドした削り節が美味しいのでうどん出汁を取りたいときに特にオススメ。
あー緊張するなあ。
私「あのーーーー。かつおの荒節は、姿では買えませんか?」
店員さん「あー?時々そういう変わったこというお客さんいるけどねー、、、無理だねえ。」
私「そ、そうですか、、たとえば、お金積んでも無理ですか?」
店員さん「そういう問題じゃないねえ。売れないものは売れないんだよー。うちの商品はここに並んでるものだーけ!」
私「わ、わかりました。ありがとうございましたー。」
またもや撃沈。売れない理由は教えてくれましぇん。
このやりとりの間も、プロの料理人たちが、事前に予約していた削り節を万円単位でどんどん買って行きます。
朝一の忙しい時間、僕、お邪魔ね。。しつれいしましたー。(このとき、AM6:00すぎ)
次、三軒目、写真撮り忘れましたが「伏高」さん。(ここの社長のコラムは面白いです。)
私「す、すみません。かつお節の荒節を姿で買えませんか?」
店員さん「、、、(5秒ほど沈黙)。。 お客さん、何したいの?」
私「いやぁ、荒節も削りたてのほうが美味しいかと思って、自分で削りたいんですよ」
店員さん「あーーー、そういうことねぇ。うーん。悪いね、無理だよ。。荒節はね、だめなんだよ。燻したときのタールが着いてるからさ、鰹節屋はそれをグラインダーで削ってキレイにしてから削るんだ、素人にはそんなこと出来ないでしょ。だから売れないよ。」
私「な、な、な、なるほど。じゃあ、そのグラインダーで削ったあとの荒節を姿で売れません?」
店員さん「いや、無理だわ、タールを削ったら、痛むのも早いから、姿全部削っちまわないといけないからさ。素人がちょいちょい使う分だけ削るってわけにはいかないんだ。」
私「そ、そういうことですか。わかりました。ありがとうございました」
売ってくれない理由もわかりました。伏高さんはちゃんと説明してくれました。ありがとう。
ふう。諦めよう。。。
なんか朝からどっと疲れた。
流れで、四軒目は「久住」さん。ここは女将がフレンドリー。顔もたぶん覚えてくれています。
もはや姿で売ってもらうことは最初からあきらめ、世間話をする。
そうだ、ひとつ疑問があったんだ、築地って、削り節の売り方が、「特上」「上」「並」みたいなランクで売っていて
そもそもその節が一本釣りなのか巻き網なのか、あるいはどこ産なのか、誰が作ったのか、とか、そういう記載ってないんだよなあ。なんでだろう。
女将さんに聞いてみました。
「そりゃあね、それぞれ店の味ってのがあるからさ、どこ産だろうとなんだろうと、はっきり言ってどうでもいいのよ。お客さんはその店のその味を求めに来るんだから。同じかつお節だって、鰹節屋によって味が違うのよ〜〜。お店は同じ味を出すためにその時々で仕入れ先も変えるしね〜。余計なことは言わないし聞かないってもんよ。特上を買えば、その店の一番おいしい出汁が買えるし、上ばその次だし、並だったらそれなりだし。気に入った店の気に入った商品を黙って買えばいいのよ。そういうことね。」
なるほど!!激しく納得。築地は、馴染みの店と客との長い付き合いのもとで成り立っているから、そんな産地だ製法だなんて、野暮なことは聞かないのが暗黙の了解なのかな。信頼する目利きの主人から買ってりゃ間違いはないんだから、素人は余計な邪念を持つなよな、って言われたような気がしました。今日ちょっとだけ築地が分かったような気がしました。
ちなみに、通販だとどこ産とかそいういう情報はちゃんと書いてあるところが多いので、
そういう視点で買いたいときにはもしかしたら、通販の方がいいのかも。。。
もちろん、最終的には自分好みのうまい出汁が出せるかの方が大事なんだけどね。
後日、にんべんのお客様センターに問い合わせもしてみました。
荒節を姿で売れない理由を下記のように丁寧にお答えいただきました。
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弊社ではカビ付け後の本節のみの販売となり、申し訳ございません。
一般的に、荒節は本節よりも水分量が高いので、カビになりやすく(悪いカビです)、
ご家庭での保存等が難しいのではないかと思いますが、他社では取り扱いのあるショップもございますので、
検索サイト等で「荒節 通販」等と検索していただき、ご確認いただければと存じます。
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なるほど。さすが大手にんべん。説明の根拠もしっかりしていました。対応も丁寧。
でも、カビが心配なら冷蔵庫に入れておけばいいような気もするけど。。
しかも「荒節 通販」で調べても、削り節は出て来るけど、姿のままは出て来ないなぁ。。。探し方が悪いのかなあ。
この件、もうちょっと調べてみたいと思いますが、結論としては、
素人は、本枯れ節以外は、姿のまま買うのは、かなりハードル高い。
(ていうか、飲食店のプロも築地に削り節を買いに来てるくらいだから、そこまでやろうってのは変態だと思う。)
ということが分かりました。
いざ、変態を目指して! 冒険はつづく。